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第四章
パイナップル
しおりを挟むパイナップルのような果物の付け根にナイフを刺し込んだが……しかし。
「なっ!?」
キン……と金属同士がぶつかるような音を立てて、ナイフが弾かれてしまったのだ。
「これ食べれるっすかねぇ。」
「俺の予想が正しければ美味しいはずなんだがな。」
パイナップルと同じような見た目だから、味も美味しいと思うんだが……。そして再びナイフの切っ先でその果物の付け根をつついてみた。しかしやはりこれでは傷一つつかなさそうだ。
すこし強引だが、あれを使うか。俺は魔包丁レヴァを取り出した。
「これで切れなかったら無理だ。」
今のところ、これより切れ味が良いものは持ち合わせていない。つまりこれで無理だったら無理なのだ。その時は諦めるとしよう。
俺はレヴァに少し魔力を込めて、再びその果物の付け根に刺し込んだ。すると、先ほどまでが嘘のようにあっさり刃が入り、果物を切り離すことに成功した。
「おんもっ!?こんなに重いのがこの茎になってたのか、そりゃあ茎も強いものになるな。」
切り離した果物を手に取ると、見た目とは裏腹にとてつもなく重かった。中にぎっちり果肉が詰まってるのかな?
試しに切断部分の香りを嗅いでみると…。
「思った通り、やっぱりあの匂いだ。」
断面からは僅かだが、パイナップル特有の匂いがする。
「それ今日食べるっすか?」
「いや、多分まだ完熟してないから、もう少し熟してから食べよう。」
思わぬところで道草を食ってしまったが、まぁ問題はないだろう。そんなに時間を食ったわけじゃないからな。
そして再びグレイスが馬車を引っ張り始めてから少しすると、密林の終わりが見えてきた。
「ヒイラギさん出口っす!!」
長かった密林の中を抜けると、左側には広大な海が広がっていて、向こうの方には街並みが見える。
「あれがマーレかな?」
「あともうちょっとっすね。」
「あぁ、あと一息だな。頑張れるか?」
「余裕っす!!」
じゃあこのまま一気に向かうとするか。そしてマーレらしき街へと向かって馬車を進めている最中、海を眺めて思わず言葉がこぼれた。
「きれいだな。」
海に太陽の光が反射してキラキラ光っている。とても綺麗な光景だ。見える砂浜にはゴミ一つないようだ。誰かが整備してるのだろうか。
この綺麗な海にはいったいどんな魚が住んでいるのだろうな。今から楽しみだ。
残り短いマーレへの旅路をきれいな海を眺めながら進むのだった。
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