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第四章
オリジン
しおりを挟む食後のコーヒーを飲み終わった頃、皆のお腹も落ち着いた様子なので、そろそろ出発することにした。
「それじゃグレイス、外に出て元の大きさに戻ってくれるか?」
「了解っす!!」
パタパタとグレイスは外へ向かって羽ばたき、そして外へと出ると、むくむくと大きくなり始めた。いつ見てもマスコットのような見た目から、ゴツい見た目に変わる様は凄い迫力がある。
「あらぁ?この子進化したんですねぇ~。」
ウォータードラゴンが大きくなったグレイスをみて呟いた。
「あぁ、どうやらそうらしい。」
「へぇ~……ふむふむ。」
「な、なんすか?そ、そんなにじろじろ見られると恥ずかしいっす。」
何か疑問をもったらしい彼女は、グレイスの体を隅々まで観察し始めた。
「う~ん、やっぱり正統な進化じゃない……独自の進化をしてますねぇ~。」
「独自の進化?」
「言ってしまえば完全な新種ってことです~。ドラゴンに限りなく近いワイバーン……みたいな。」
ほぉ、新種か……魔物の研究とかしてる人達に見付かったら、大変なことになりそうだな。街中では、マスコットみたいになってるから、見つかることはないとは思うが……こうやって公に出している場合、少し危険かもしれない。
そんな俺の心配を他所に、グレイスは喜びを露わにしていた。
「自分新種になったっす!?オリジンになれたっす~!!」
「オリジン?」
聞きなれない言葉が出てきたので聞き返すと‥……。
「オリジンっていうのはぁ、魔物の原点のことです~。今のグレイスちゃんみたいに、新種になった魔物がそう呼ばれるんですよぉ~。ちなみに私とランもオリジンです~♪」
「意外と数が多かったりするのか?」
「そうですねぇ~、探せばいないことはないと思いますけどぉ……。一般的な魔物のオリジンを探すのは大変かもですねぇ~。」
「なるほどな。」
後でグレイスのことも鑑定してみないといけないかな。種族名がどんなことになっているか気になる。
「いよっし、グレイス、違和感とかないか?」
馬車の装備を着け終わったところで、そう問いかけた。
「大丈夫っす!!」
「じゃあ出発するか。」
みんなに準備ができたことを伝えると、続々と馬車の中に乗り込んでいった。
「それじゃあねウォータードラゴン。またどこかで会いましょ?」
「そうですねぇ~、またどこかで~。」
ランは彼女に別れを告げてから馬車に乗り込んだ。
全員乗り込んだのを確認して、俺は運転席に腰掛ける。
「それじゃ、また来るよ。」
「楽しみにしてますねぇ~。」
ウォータードラゴンに見送られながら、俺達はマーレを目指して出発した。
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