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第四章
お魚バイキング
しおりを挟むホールでバイキングの準備を進めていると、こちらにふらふらとシアが鼻を鳴らしながらやって来た。
「おはようシア。」
「お兄さん、おはよぉ~。」
「もうご飯はできてるから、この台のセットが終わったら食べような。」
「スンスン…スンスン…。もしかして今日の朝ごはんはお魚?」
「あぁ、今日の朝ごはんは、シアの大好きな魚をたくさん使って作ったぞ。」
朝ごはんが魚ということがわかったシアは、先程まで力なくぺたん……と垂れていた耳と尻尾がピンと立った。
「えへへぇ~♪楽しみ!!メリッサちゃんにも教えてくる!!」
そしてシアは、ソファーに座ってハチを撫でていたメリッサのもとへと駆けていった。
元気なことだ。子供というのが羨ましくなってしまう。
元気なシアを見てそんなことを思いながらも、テーブルのセットを進め……料理を並べていった。
それから数分後……バイキングのセットを終えると、みんなも起きてきた。
「よし、それじゃあみんな各々好きな料理を、好きなだけとって食べていいぞ。飲み物もそこに並べてあるから、好きなのを飲んでいいからな。」
「シア、いっぱい食べるお姉さんにも負けないぐらいいっぱい食べる!!」
「わたしも…まけない!!」
「私も負けませんよぉ~。た~っくさん食べちゃいますからねぇ~♪」
シアとメリッサとウォータードラゴンの三人は、我先にと並べられた料理を自分の皿に盛り付けていった。
「朝から元気ね~。」
「ホント子供って羨ましいよ……。若干一人子供じゃないのも混ざってるけど。」
ドーナとランの二人は、朝から元気いっぱいの三人を見てそう呟いていた。やはり大人からしてみれば、子供の元気って羨ましくなるんだよな。
「むぅ、この小魚……芋酒が欲しくなる味をしておるな。」
ボリボリと小魚の唐揚げを食べていたシンはそんなことを呟いた。
「気持ちはわかるが、せめてマーレに着いてからにしてくれ。あと……立ち食いは行儀悪いぞ?」
「む、気を付けるのだ。」
皿に山盛りに小魚の唐揚げを盛り付けて、シンはいつものテーブル席に座る。そして再びボリボリと小魚の唐揚げをむさぼり始めた。
どうやらあれを気に入ってくれたらしい。
「イリスさんズルいよ!!ボクも牛乳飲みたいのにぃ~。」
「そうよ!!独り占めはよくないわ。」
大きなコップに並々と牛乳を注いでいるイリスに、フレイとリリンが文句を言っていた。
「ふふっ♪大丈夫ですよ~。なくなっても~、こうやってまた補充されますから♪」
「うえぇっ!?な、なんで!?さっきまで空だったのに……。」
「ふ、不思議なこともあるものね。まぁ私達も飲めるならそれでいいのだけれど。」
急に満タンになった牛乳を見て驚く二人。
不思議なことに、このハウスキットの中に常備されている調味料に分類される物は、無くなると補充される仕組みになっている。
飲み物も料理に使えるという点から調味料として、認識されているようで、飲み物も減らない。
恐らくはこれも女神の力……だと思われる。こちらとしてはめちゃくちゃありがたい仕様だ。
それから、無くならないとわかったリリン達はイリスと同じ、大きなコップに並々と牛乳を注ぎ始めた。
今にも溢れそうなほど注いでいる二人の姿は、どこか危なかっかしい。
そして無事二人がテーブル席に座ったことを確認して、ホッと胸を撫で下ろした。
「さて、俺もそろそろ取り分けるかな。」
みんなが料理を取ったのを確認して、俺も料理を取りに行った。
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