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第四章
大量の魚の仕込み②
しおりを挟む「次は唐揚げと南蛮漬けを同時にやるぞ。」
小魚に片栗粉をまぶして170℃の油で揚げる。骨まで食べられるように、じっくり時間をかけて揚げていく。
その間に南蛮漬けの地を作る。鍋に水を入れて昆布と鰹で一番出汁を引き、醤油、砂糖、塩で味を調え輪切りにした鷹の爪を入れる。
最後、沸騰直前でお酢を入れ、カルパッチョを作るときにスライスした、玉ねぎの余りを入れて南蛮地の完成だ。
「普通の唐揚げにするやつは塩を振って盛り付けて……南蛮漬け用に揚げたのは、地に浸けてしっかりと冷ます。」
これで残ったのは、焼き物とムニエルだけだな。まだ幽庵焼きの魚に味が染みてないだろうから、今のうちにご飯を炊いて、味噌汁を作ってしまおう。
米を研ぎ炊飯器にセットし、余った魚の骨を使って味噌汁を作る。
「よし、そろそろいいだろう。」
幽庵地から切り身を取り出して、キッチンペーパーでよく水気を拭き取る。後はスチームコンベクションオーブンの熱風で焼くだけだ。
塩焼き用に塩を振っていたジュエルサーモンも一緒にセットして……。
「後は250℃の熱風で焼き色がつくまで、焼いておけばいい。」
スチコンの温度を設定して魚を中へと入れる。これで焼き上がるまで放置だ。
「最後、ムニエルだな。」
トングの切り身に塩を振り、小麦粉をまぶす。そしてフライパンにバターを馴染ませて焼いていく。表面がきつね色になって、カリカリになったら焼き上がりだ。
「ソースはオリーブオイルとレモンで作るか。」
レモン汁にオリーブオイルを加えながら混ぜ、しっかりと乳化させる。最後塩で味を調えればレモンソースの完成だ。
「ムニエルとソースは別盛りで、食べるときにかけてもらおう。」
ソースを今かけてしまうと、せっかくカリカリの衣が柔らかくなってしまう。
「そろそろあっちも焼けるんじゃないかな。」
スチコンの中を覗くと、魚の表面がジュワジュワと少し泡立っていて、焼き色もついていた。
「よし、オーケーだ。」
スチコンから取り出して、大皿に塩焼きと幽庵焼きを別々に盛り付ける。魚が焼ける香りというのは、強烈に食欲を誘う……俺も腹が減ってきた。
「よし、冷めた南蛮漬けも盛り付けて……完成っ。」
全ての料理を作り終えた後、俺は大きく息を吐き出した。
正直、獣人族の宴会の時よりも疲れたかもしれない。こっちの方が何気に手間が多かったからな。
さ、後はバイキングのセッティングをしに行くか。俺は前掛けを外して厨房から出た。
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