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第四章
差し入れ
しおりを挟む「ぱぱ…おきて。」
メリッサにユサユサと体を揺さぶられ、目を覚ました。
「ん……おはよう、メリッサ。」
「おはよ…ぱぱ…だれか…きてる。」
メリッサが扉の方を指差して言った。するとコンコン……と確かに誰かが扉をノックしている。
こんなに朝早くに誰だろうか……大きく一回欠伸をしてから扉を開けた。
「あっ!!人間さん、おはようございます~。」
「……またご飯でもたかりに来たか?」
扉の先には、またしてもウォータードラゴンがいた。しかも背中に何かを大きな物を背負っている。
「あはは~……そ、そうなんですけどぉ。こ、今回はちゃんと私が食材を用意してきましたぁ~。」
そしてドン……と彼女は背負っていた物を、俺に見えるように置いた。
彼女が背負っていたのは巨大な網だった。しかもただの網ではない、魚をとるやつだ。
「ず、ずいぶんたくさん魚をとってきたんだな。」
網のなかでは、まだ生きている魚がたくさんピチピチと元気よく跳ね回っていた。
「頑張ったんですよぉ~。これを持って湖の中を何周もぐるぐる回ったんです~。そ、それでなんですけど、これぐらいあれば料理ってできますかぁ?」
「充分すぎる。むしろ多いぐらいだ。」
これだけの量の魚を全て捌くのは骨が折れそうだ。まぁ小さいやつは内臓と鱗だけ取って、そのまま唐揚げにすればいいかな。
大きいのは……うん、捌かないわけにはいかなさそうだ。
「よ、よかったです~。安心しましたぁ~。」
彼女はホッと胸を撫で下ろしていた。
これを使って作った料理は、大半を彼女が食べ尽くすんだろうな。これだけ多種多様な魚がいたら、作る料理も数多くなる。
となれば今日は朝からバイキング形式にするべきだろう。流石にあのテーブルに料理を全て並べるのは無理だ。
「ま、取りあえず全部バッグにしまってから調理を始めるとするか。網は後で返すよ。」
大量の魚が入った網を一度バッグの中にしまいこむ。
「よし、じゃあ中に入って休んでてくれ。メリッサ、もし誰か起きても、厨房には絶対に入れないようにしてくれるか?」
「うん…わかった。」
「ありがとう。メリッサも危ないから入ってきちゃダメだからな?」
「うん。」
「いい子だ。」
ポンポンとメリッサの頭を撫でる。
そして仕込みの段取りを頭で考えながら、俺はロッカールームへと向かった。
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