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第四章
子供扱いされるリリン
しおりを挟むリリンとウォータードラゴンが戯れている間に、他の寝ているみんなを起こしていく。
「みんな、ご飯だぞ。早く起きないと……今日という今日はマジでなくなるぞ~?」
この前は冗談で言ったが、今回は冗談ではすまない。何せ大喰らいの彼女が来てしまったからな。
「んん、ふわぁ…よく寝たわ。…ってあら?なんであなたがここにいるのよ。」
ぐ~っと大きく背伸びしたランは、ハウスキットの中でリリンと戯れているウォータードラゴンを見つけた。
「あっラン!!久しぶりですねぇ~、ここからいい匂いがしたので、ついつい来ちゃいましたぁ♪」
「いい匂いがしたからって……あなたねぇ~、ワタシ達だったから良いとはいえ、別の人間だったらどうするのよ?」
「そのときは~……そのときです~♪」
「はぁ、相変わらずね。」
ラン達が話しているところを眺めていると、クイクイッとコックコートの袖が引っ張られた。
「ぱぱ…あれ…だれ?」
「あぁ、あれはなウォータードラゴンだ。」
「どらごん?にんげん…じゃないの?」
「今はスキルで人間の姿になっているだけで、もとの姿はちゃんとしたドラゴンだぞ?」
彼女は以前、湖で冒険者達を蹴散らしてしまっている。そのため、ドラゴンの姿のままここで暮らしていると、討伐されかねないから現在人間の姿で生活しているのだ。
「どらごん…なのに…にんげん…ふしぎ。」
メリッサも同じようなものだと思うけどな。今は羽とか触角とか、針とかを体内にしまっているから、人間の少女にしか見えないが……。
「あれぇ!?またまたずいぶんかわいい子がいますねぇ~♪」
メリッサが話していると、彼女はリリンと戯れるのを止めてこちらに歩いてきた。
「こんばんは♪この子も人間さんのお仲間ですかぁ?」
「ぱぱ!」
「ぱ、パパですかぁ!?も、もしかして……もうランと子作りしたんです!?」
「断じて違う。訳あって、今育て親になっているんだ。……コホン、まぁまぁそんなことよりだな、そろそろ食べる準備しないと、せっかくの温かいご飯が冷めるぞ?」
「そ、それは困ります~!!」
彼女はパタパタと小走りでテーブル席に向かうと、空いている所に腰かけた。
「ちょっと!!そこ私の席なんだけど!?」
「あらぁ~?そうだったんですねぇ~。でも先に座っちゃいましたしぃ……そうだ!!私の上に座ればいいじゃないですかぁ~♪」
「そんな子供みたいなことできるわけないでしょ!?うぅ、こんなに子供扱いされたのは初めて……屈辱よ。」
しぶしぶといった感じで、仕方なくリリンは彼女のとなりに座る。
しかし……。
「そんな恥ずかしがらなくてもいいんですよぉ~?ほらぁ~♪」
「ちょ!!やめなさいよ!!下ろしなさい!!」
「はい、下ろしました♪」
「ここにじゃないわよ!!」
無惨にもリリンは彼女に抱き上げられ、無理やり彼女の太ももの上に座らせられる。
うん、やっぱり今のリリンは駄々をこねる子供にしか見えないな。
彼女の太ももの上で、じたばたと暴れているリリンを見て、思わずそう思ってしまった。
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