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第四章

おやつの時間

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 昼食を済ませた後、シアとメリッサに約束したおやつの時間にすることにした。

「今日のケーキはこれにしよう。」

 俺はバッグから茶色いケーキを取り出して、みんなの前に置いた。

「お兄さん、これなにケーキ?」

「これは、チョコスフレケーキだ。」

 チョコスフレケーキは、生クリームと溶かしたチョコを混ぜたものをゼラチンで固めたケーキだ。

 みんなに行き渡るようにケーキを切り分け、皿にのせていく。そして最後、上からココアパウダーを振りかけて完成だ。

 いざ初めてケーキを見るリリン達は、不思議そうに眺めていた。

「人間って面白いものを作るわよね。これってお菓子なんでしょ?」

「お菓子って……ボク、クッキーしか食べたことないよ。」

「多分食べたら驚くぞ?」

 クッキーも美味しいには美味しいが、まずそれには負けないぐらいこのケーキは美味しい……はずだ。

「ま、それじゃ好きな飲み物を飲みながら自由に食べてくれ。」

「えへへぇ~♪いただきま~す!!」

「いただき…ます。」

 早速シアとメリッサの二人は、フォークで少しケーキを切り分けて口に運んでいた。

「ふわぁ……美味しい~っ!!ふわふわでトロトロしてて不思議なの!!」

「おいしい…あまくて…ふわふわ。わたし…これすき。」

 二人はケーキに夢中になっていた。後でまた新しいケーキを作っておかないといけないな。

「やっぱりケーキって美味しいわね~♪」

「甘いけど、ちょっとほろ苦くて…くどくないから、いくらでも食べられそうだよ。」

「あぅ……美味しすぎて、もうなくなっちゃったっす~。」

「ふふっ♪ケーキ……これこそ最高の甘味ですね♪」

 ドーナ達もケーキを美味しく食べてくれているようだ。グレイスに至っては、もう皿からケーキが消えていて、もっと食べたそうにしている。

 さて、リリン達はどうなっているだろうか ?

 チラリとリリン達の方に視線を向けると……。

「くっ、なんなのよこれ……こんなに甘くて美味しいものがこの世にあったなんて。」

 リリンは悔しがりながらも、少しずつ……じっくりと味わいながらケーキを食べていた。

 その横にいるライラは、無言であっという間にケーキを食べ終えると、鼻から大きく息を吐きながら、満足そうに口元をナプキンで拭いている。

「あれ?お姉様、あんまり食べる手が進んでないけど……もしかしてお腹いっぱい?じゃあボクが代わりに食べてあげるよ~♪」

「はわわっ!?だ、ダメよ!!これは私のなんだから!!」

 フレイに食べられまいと、リリンは残っていたケーキを一口で口の中に入れてしまった。リリンの頬がリスのように膨らみ、モゴモゴ動いている。

 そんな様子を見て思わず笑みを浮かべていると……。

「ヒイラギ、そのケーキとやら食べぬのか?」

 獲物を見る目で、シンは俺の手がつけられていないケーキを見ていた。シンはグレイス同様、早々にペロリとケーキを平らげてしまっていたから、物足りないのかもしれない。

「俺はもうこのケーキの味はわかってるからな。食べたいならあげるぞ?」

「むっ!?本当か!?では我が……。」

 シンが俺のケーキに手をかけようとすると……。

「「「「ちょっと待った!!」」」」

 他のみんなから、一斉に制止の声がかかった。
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