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第四章
消えたゴブリン
しおりを挟むしばらく馬車で進んでいると……。
「ヒイラギさん!!前方に魔物っす。」
「あれは、ゴブリンか?それにしては筋肉ムキムキだな。」
緑色の特徴的な皮膚の色は、以前見たことがあるゴブリンの特徴そのものだが……痩せ細っておらず、むしろ肉付きがいい。
棍棒をポンポンと手のひらに当てながら、こちらの行く手を塞いでいる。
戦うしかないか……とグレイスに馬車を止めてもらおうとしたその時だった。
「グギャ!?」
ヴヴヴ……という特徴的な羽音と共に、何かがそのゴブリンを持ち去ってしまった。
その後ゴブリンが消えていった方向から、けたたましい悲鳴が聞こえる。
「な、なんだったんすか、いまの……。」
「さぁな。」
まぁ、だいたい想像はつくが……。
後ろの馬車を覗いてみると、メリッサが一匹のハチを召喚してシアと一緒に撫でていた。
さっきのゴブリンを持ち去ってしまったものが、メリッサの配下のハチだったら、あのゴブリンはとても悲惨な末路をたどったのだろう。
「ま、何事もなくてよかったな。」
「ホントっすね~。」
何事もなく進めるのなら、それに越したことはない。
「グレイスはまだ全然余裕か?」
「そうっすね~、まだまだ余裕っす!!」
なら休憩はまだ先でいいか、今は進めるところまで進もう。今日のうちに出来る限り距離を稼いでおきたいからな。
「それじゃ、もう少し進んでから昼御飯にするか。」
「今日の昼御飯は何にするっすか?」
「グレイスは何を食べたい?」
「自分はヒイラギさんが作るご飯だったら何でもいいっす!!」
ストックしている料理のなかで、昼御飯にちょうどいいやつ……なんかあったかな?
自分が作って保存しておいた料理を思い返していると……。
「確かハンバーグ作ってたよな。あれなら昼御飯にちょうどいいんじゃないか?」
腹にもたまるし、確かチーズとか大根おろしとか、いろんな種類作ったはずだから……。好きなのをみんなに選ばせてもいい。
よし、今日の昼御飯はそれに決まりだな。
「じゃあグレイス、もう少し頑張ってくれ。」
「了解っす!!」
昼御飯を目の前にしたグレイスは、張り切って馬車を引っ張るのだった。
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