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第四章
海街マーレへ
しおりを挟むミルタさんにお礼のケーキを渡した後、仕事の邪魔にならないように俺達は店を後にした。
「それじゃ今からすぐにマーレに向かうとするか。」
「マーレだと、グレイスでも二日はかかりそうだねぇ。途中、シュベールで夜を明かしたほうがいいんじゃないかい?」
「そうだな。」
ハウスキットがあるお陰で、シュベールで宿を取らなくてもいいからな。街に入らなければ、こちらの動向を探られる心配はないだろう。
そして早速リリン達のいるハウスキットへ戻ろうとした時……。ポツリとランがあることを呟いた。
「確かマーレって、海街だ~ってあの人言ってたわよね?」
「そうだな。」
「やっぱり魚とかが美味しいのかしら?」
「どうだろうな、それは着いてからのお楽しみだ。」
「お魚さん楽しみ~!!」
「しあちゃん…よだれ…たれそう。」
魚と聞いて、シアが今にもよだれを垂らしそうになっていた。魚好きのシアにとっては、最高の街になりそうだな。
関所を通る前に、再び俺はバッグの中に身を隠し、国王の息がかかった衛兵に姿見られたりしないようにした。
なんだか、こういう風にこそこそしてると……犯罪者の気分になってくるな。
まぁ、向こうからしたら俺は犯罪者同然なんだろうが……。早く大手を振って歩けるようになってほしいものだ。
そして関所を抜けて、森にある店に着いたところで早速馬車の準備を始めた。
「グレイス、キツくないか?」
「大丈夫っす~。」
グレイスに馬車の装備を次々に取り付けていく。
「どうやら次の目的地が決まったみたいね?」
後ろから声が聞こえたので、振り向くとそこにはリリンが立っていた。
「あぁ、次の目的地は海街のマーレっていう場所だ。どうやらそこに例の国王の子孫らしき人物がいるらしい。」
「よくこの短時間でその情報を掴んで帰ってきたわね。」
「知り合いに顔が広い人がいてな、たまたまその人が知ってたんだ。」
もしミルタさんがその情報を持っていなかったら、図書館で例の国王のその後を調べないといけなくなるところだった。もしそうなってしまっていたら、何時間かかるかわからない。
「これでよし……っと、それじゃみんな乗り込んでくれ。」
馬車の用意が完了したので、みんなに乗り込んでもらう。
「シンこれを持っててくれ。」
「む?これは……」
「もし、馬車の中身を途中で衛兵とかに検査されたとき……その中に隠れてくれ。ライラもな?」
シンに手渡したのはマジックバッグだ。流石にシンやライラの姿を人に見られるわけにはいかない。
みんな乗り込んだことを確認して、俺は馬車の運転席に腰かけた。
「それじゃグレイス、今日も頼むぞ?」
「任せてくださいっす~!!」
そしてグレイスは、海街マーレを目指して進み始めた。
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