転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第四章

ベリリゼリーのレアチーズケーキ

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 ミルタさんから目的の人物に繋がる情報を得られたところで、俺はお礼をすることにした。

「今日は忙しいところ、ありがとうございました。これ、良かったら食べてみてください。」

 俺はバッグから、交渉用にストックしているケーキのうち一つを取り出して、ミルタさんに差し出す。

「おぉ!!これはまたいつもありがとうございます。」

「今回のはレアチーズケーキです。上の赤いゼリーはベリリの実で作ったジャムを固めたもので、一緒に食べてみてください。」

「これはチーズなのですか!?」

 チーズケーキというワードに、ミルタさんはすごく驚いていた。

 この世界の一般的なチーズというものをまだ見たことがないから、何で驚いているのかはわからないが……。多分チーズのイメージとは違ったんだろうな。

「簡単に言ってしまうと、そのケーキは溶かしたお菓子用のチーズとクリームを混ぜて固めたものなんです。」

「チーズがお菓子に……いやはや驚きですな。」

 ミルタさんにケーキの説明をしていると、左右から服の袖を引っ張られた。

「ぱぱ…あれ…わたしも…たべたい!」

「シアもっ!!」

「じゃあ今日のおやつの時間は、みんなでケーキを食べるか。」

「「やった!!」」

 シアとメリッサがハイタッチして喜び合う。

 そんな様子を見て、ポツリとミルタさんが呟いた。

「おやつでこんなものを食べられるなんて、羨ましい限りですな。」

「そんなことありませんよ。このぐらいだったら簡単に作れますから。」

 俺の言葉にミルタさんの表情が固まる。なにか不味いことでも言ったかな?

「こ、これを簡単に作れるというのですか!?」

「え?は、はい……。」

 ある程度の技術は必要だが、分量と工程さえ間違えなければ、誰だってある程度ケーキは形になる……と思うんだが。
 パイ生地みたいに、温度とか湿度が重要になってくる難しいお菓子じゃないし……。

「よ、良ければ今度作り方をご教示していただけませんかな?もちろんタダでとは言いません。」

「え、えっと……別にタダでいいですよ?今回協力してもらいましたから。」

「よ、よいのですかな!?」

「えぇ、大丈夫ですよ。」

 俺が二つ返事で了承すると、ミルタさんは思わずガッツポーズして喜んでいた。

 
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