転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第四章

二人の覚悟

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 朝ごはんを食べ終わった俺達は、ミルタさんに会うために準備を進めていた。

「それじゃみんな、俺はマジックバッグの中に入ってるから。」

「わかったわ。」

 関所で俺のステータスカードを確認されることを防ぐため、一度バッグの中に隠れて関所をやり過ごすことにする。
 俺の情報は極力表に出さないようにしないと、みんなの身に危険が及んでしまう。

「じゃあミルタの店の近くに着いたら合図するよ。」

「あぁ、それじゃ頼むぞ。」

 バッグの口を開き、中へと足を踏み入れた。相も変わらず中は不思議な空間だ。

「後は合図を待とう。」

 なにもない空間にごろんと横になり、ドーナの合図を待つことにした。

「ふぁ……なんか横になってたら眠くなってきたな。」

 少し休んでるか。ミルタさんの店に着くまで、まだ時間はあるだろうしな。





 街へと歩いている途中、ランはふとドーナに話しかけた。

「ねぇドーナ?」

「どうしたんだい?」

「さっき、リリンにヒイラギが呼び出されてたのよ。たまたまその会話を耳に挟んじゃったんだけど……。」

「わざわざヒイラギと二人になって話してたんなら、重要なものなんじゃないのかい?」

「そうなのよ。その話によるとね、昨日の夜ヒイラギを殺しに来た人間が現れたらしいの。」

 ランの言葉にドーナの表情が凍りついた。そして徐々に怒りに染まっていく。

「しかもその人間は、国王からの命令で来たらしいわよ?……それについてあなたに質問があるんだけど、いいかしら?」

「……なんだい?」

「このままいけば、もしかすると人間全てがヒイラギの敵になる可能性があるわ。人間のあなたは、それでもヒイラギに寄り添う覚悟はあるのかしら?」

 国王がヒイラギを敵視しているということは、その仲間も然り。ドーナだって例外ではない。
 ヒイラギに付いていくということは、ドーナは自分の種族を裏切るということに他ならないのだ。

 それを重々理解しながらも、ドーナはランに質問の答えを返した。

「アタイは人間が全員ヒイラギの敵に回ろうが、世界中の全種族が敵になろうが、ヒイラギの味方だよ。ランだってそうじゃないのかい?」

「ふふっ、ワタシの心配損だったみたいね。そうよ、ワタシだってヒイラギの味方。これからもずっと……ね。」

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