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第四章
二人の覚悟
しおりを挟む朝ごはんを食べ終わった俺達は、ミルタさんに会うために準備を進めていた。
「それじゃみんな、俺はマジックバッグの中に入ってるから。」
「わかったわ。」
関所で俺のステータスカードを確認されることを防ぐため、一度バッグの中に隠れて関所をやり過ごすことにする。
俺の情報は極力表に出さないようにしないと、みんなの身に危険が及んでしまう。
「じゃあミルタの店の近くに着いたら合図するよ。」
「あぁ、それじゃ頼むぞ。」
バッグの口を開き、中へと足を踏み入れた。相も変わらず中は不思議な空間だ。
「後は合図を待とう。」
なにもない空間にごろんと横になり、ドーナの合図を待つことにした。
「ふぁ……なんか横になってたら眠くなってきたな。」
少し休んでるか。ミルタさんの店に着くまで、まだ時間はあるだろうしな。
◇
街へと歩いている途中、ランはふとドーナに話しかけた。
「ねぇドーナ?」
「どうしたんだい?」
「さっき、リリンにヒイラギが呼び出されてたのよ。たまたまその会話を耳に挟んじゃったんだけど……。」
「わざわざヒイラギと二人になって話してたんなら、重要なものなんじゃないのかい?」
「そうなのよ。その話によるとね、昨日の夜ヒイラギを殺しに来た人間が現れたらしいの。」
ランの言葉にドーナの表情が凍りついた。そして徐々に怒りに染まっていく。
「しかもその人間は、国王からの命令で来たらしいわよ?……それについてあなたに質問があるんだけど、いいかしら?」
「……なんだい?」
「このままいけば、もしかすると人間全てがヒイラギの敵になる可能性があるわ。人間のあなたは、それでもヒイラギに寄り添う覚悟はあるのかしら?」
国王がヒイラギを敵視しているということは、その仲間も然り。ドーナだって例外ではない。
ヒイラギに付いていくということは、ドーナは自分の種族を裏切るということに他ならないのだ。
それを重々理解しながらも、ドーナはランに質問の答えを返した。
「アタイは人間が全員ヒイラギの敵に回ろうが、世界中の全種族が敵になろうが、ヒイラギの味方だよ。ランだってそうじゃないのかい?」
「ふふっ、ワタシの心配損だったみたいね。そうよ、ワタシだってヒイラギの味方。これからもずっと……ね。」
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