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第四章

あ~ん

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「おなか…いっぱい。とっても…おいしかった。」

お腹がいっぱいになったメリッサは、今とても幸せそうな顔をしている。

「さて、それじゃ今度は俺が食べようかな。」

「ぱぱ…どれたべるの?」

「そうだな、まずはエビの刺身の方から食べようかな。」

「とって…あげる。」

 そう言ってメリッサは、おぼつかない手つきで箸を握った。  見よう見まねにしては、しっかりと持ち方はあっている。

 初めて出会った時から感じてはいたが、やはりメリッサは学習能力がとても高いようだ。

「んと…これに…つけて。はい…ぱぱ。」

 プルプルと震える箸で、エルダーシュリンプの刺身をつまみ上げ、メリッサはそれを俺に差し出してきた。

「あ、ありがとう。」

 醤油がポタリ……と、こぼれる前に差し出された刺身を食べた。
 エルダーシュリンプのお刺身は、食感がプリップリで、噛んでいて楽しい。それに噛めば噛むほど、エビの甘味がどんどん出てくる。
 エビチリのように火を通しても美味しいが、こんな感じで刺身にしても美味しいな。

「ぱぱ…おいしい?」

「あぁ、美味しかったぞ。」

 ポンポン…とメリッサの頭を撫でてあげる。

「ドーナ、ワタシ達…娘に負けてる気がしない?」

「ちょうどアタイもそれを思ってたとこだよ。」

 なぜか二人はメリッサに嫉妬の目を向けている。別に嫉妬するほどのことじゃないと思うんだがな。

「ぱぱ…次はどれ?」

「ん~、そうだな。じゃあ次は……。」

 次食べるものを言おうとすると。

「メリッサちゃんばっかりズルい~!!次はシアがやってあげるっ!!」

「あぅ…とられ…ちゃった。」

 役割をとられたことで、メリッサの表情がズーン……と重く沈んだ。

「ふ、二人とも?交代でな?」

「こうたい?」

「シアがやったら、次はまたメリッサがやって……っていうのを繰り返すってことだ。」

 意味を理解したのかメリッサの表情が明るくなり、コクコクと頷いた。

「えへへぇ~♪じゃあお兄さん、どれ食べるの?」

「じゃあ今度はそこのカニをとってくれ。」

「これ?」

 シアはキングクラブの身をサッと出汁にくぐらせて、醤油をつけて俺に差し出してきた。

「はいっ!!」

「ありがとう。」

 カニの身を口に含み、ゆっくりと味わう……。噛む度にカニの繊維がほぐれ、濃厚な旨味があふれだす。

 エルダーシュリンプに負けず劣らず……これもとても美味しい。

「お兄さん美味しい?」

「あぁ、美味しいよ。」

「つぎっ…つぎは…わたし。」

 そして代わる代わる二人に給仕され、少しずつお腹を膨らませるヒイラギだった。
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