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第四章

母は強し

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 三人が戦いはじめて数分後……。

「クッ、今日は我の負けだな。」

 ガクリと地面に膝をつき、立ち上がることのできない様子のバフォメットは素直に敗北を宣言した。

「やったわ!!今日はワタシたちの勝ちね~♪」

「メリッサのおかげで頑張れたよ!!」

 母は強しとはよく言ったもので、メリッサに応援された二人の戦いは凄まじいの一言だった。終始バフォメットを攻め立て、反撃の余地は一切与えることなく勝ちをもぎ取った。
 バフォメットも多少油断はしていただろうが、手は抜いていなかったはず。これは彼女たちの純粋な勝利といえるだろう。

「まま…つよい。」

「あぁ、とても強かったな。」

 メリッサは二人のことを見て目を輝かせていた。憧れを抱いてしまったのだろうか。それはそれでいいことだな。

「メリッサちゃん!!シアも強いんだよ?」

「しあ…ちゃんも…つよい?」

 メリッサは首をかしげていた。多分信じられないのだろう。一見すれば、シアはただの女の子だからな。信じられないのも無理はない。

 ただ、事実ステータスは鬼だ。ここにいる誰よりもはるかにステータスが高い。

「シアもとっても強いぞ?あそこにいる二人よりもずっと…な。」

「すごい…。」

 俺からもシアが強いということをメリッサに教えてあげると、そこで初めてメリッサは信じることができたらしい。シアに対してもキラキラとした眼差しを向けていた。

「さてさて、今日は俺は戦わなくて済みそうだな。」

 二人との戦いでバフォメットはもう限界だろう。俺と手合わせする力は残ってないはずだ。地面に座り込んでいるバフォメットの近くに歩み寄って話しかけた。

「どうだった?」

「予想以上……だ。我も毎日欠かさず鍛練は積んでいたのだがな。反撃の余地すら与えられんとは…。」

「負けたにしてはずいぶん嬉しそうだが?」

「当然、この敗北を糧に我はまた強くなれるからな。次は負けぬ。」

 敗北した直後だというのにバフォメットはもう前向きに考え始めていた。つくづく戦いが好きなやつだな。

「で、俺と戦う気力はもうないんだろ?」

「ある……と言いたいが、生憎今の状態ではな。」

「じゃあ、100年前のことについて知っていることを教えてくれないか?」

「うむ、そうだな。では我の知っていることについて話すとしよう。」

 そしてバフォメットは100年前の出来事について少しずつ話し始めた。
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