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第四章
変化したダンジョン
しおりを挟むダンジョンに入り一階層の迷路を進んでいると、シアがふと呟く。
「あのエビさん……美味しかったなぁ。」
「あのエビって初めてきたときに倒したアレのことか?」
「うん!!」
確かにアイツは美味しかったな。今日見かけたらまた倒してみるか。
「今日もいたら、倒してまた食べようか。」
「ホント!?やったぁ!!」
そして特に何事もなく、一階層から二階層へと続く階段にたどり着く。
「今日も特に何も変わったことはなかったな。」
「何もないのが一番だよ、また前みたいに突然変異で出現した変な魔物がいたら困るからねぇ。」
「それもそうだな。」
カツカツ……と音をたてて階段を下り、二階層へと向かう。いざ二階層に到着すると、景色が前回訪れた時と少し違うことに気がつく。
「なんか……前来たときと違って辺り一面に花が咲いてるな。」
以前来たときは辺りに花なんて見当たらなかったのだが、今日は辺り一面に花が咲き乱れている。
「お花いっぱい!!すっごく綺麗!!」
「ホントね~、なんでこんなに変わっちゃったのかしら?」
「ダンジョンの中が変わったってことは、ここに出現する魔物も変わったってことだから、注意しないといけないよ?」
出現する魔物が変わった……か。どんな魔物が現れるようになったんだろうな。
根本的な構造は変わっていないようだから、恐らく階段のある場所も変わってないはずだ。
それなら少しここを探索してみてもいいかもな。
「少しこの階層を探索してみるか、どんな魔物が出てくるのか気になる。」
「きっと何か花に関係してる魔物じゃないかしら?」
花に関係してる魔物か……あり得ないことはないな。これだけ花が咲き乱れているんだ、多分何か関係があるんだろう。
辺りを見渡しながら進んでいると、なにやら羽音のようなものが聞こえ始めた。
「お出ましか?」
羽音の聞こえる方に向かって構えをとる。そしてどんどん羽音はこちらに近付き、木々の間から羽音の主が姿を現した。
「ハチ?」
構えを取った俺の前に、人の顔よりも大きなハチが現れた。ブブブ…と羽音をたてながら、じっとこちらを見つめている。
攻撃してこないことを見るに、どうやら敵意はないらしい。少し警戒しながらも俺は構えを解いた。
すると何を思ったのか、そのハチはこちらに近付いてきて、俺の肩の上にしがみつくと、前足である方向を指し示した。
「あっちに行けってことか?」
肩に止まったハチに問いかけると、コクコク……と頷いた。
「わかった。」
「ホントに行って大丈夫かい?」
「敵意はないようだから多分大丈夫だ。まぁもし行って襲われたら……そのときはそのときだ。」
俺達はそのハチが指し示した方向へと足を進めるのだった。
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