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第四章
みんなで作るカレーライス
しおりを挟む「さて、それじゃ始めるか。まずドーナは、そこの底の深い鍋を火口に置いて火にかけてくれ。ランはそこのフライパンを火にかけるんだ。」
そう二人に指示を出す。今回はドーナには野菜を、ランには肉を焼いてもらう。
「お兄さん、シアは?」
「シアには料理の仕上げをやってもらうから、ちょっと待っててな?」
「うん!!」
そして二人が鍋を火口においたのを確認したところで、更に指示を出す。
「そしたら両方とも鍋に油をしくんだ。油はそこのポットの中に入ってるからな。」
指示にしたがって、ぎこちない手つきで二人は鍋に油をしいた。
「それじゃ……いよっと。」
ドーナの底の深い鍋に、先ほど切った野菜を投入した。
「さっき切った玉ねぎが透き通ってきたら教えてくれ。あと、じゃがいもは鍋の底にくっつきやすいから、よく混ぜて炒めてくれ。」
「わ、わかったよ。」
そしてドーナは、ゴロゴロと野菜を混ぜながら炒め始めた。さて、野菜を炒めている間に肉を焼いてもらわないとな。
「そしたらランは肉を焼いてくれ。軽く焼き色がついたらフライパンから取り出して大丈夫だ。」
「軽く焼き色がついたら取り出せばいいのね?わかったわ。」
ジュウゥゥ……と軽快な音をたてながら、肉が焼かれていく。
それによって、ひどく食欲を誘う香りも辺りに充満し始めた。
「スンスン……はぁ~、お腹空いてきちゃったわ~。」
「まだ食べちゃダメだぞ?」
「わかってるわよ~。」
返事をしながらも、ランの目線は焼かれている肉に釘付けだ。
「ヒイラギ、玉ねぎが透明になり始めたよ?」
「わかった。じゃあラン、その肉を焼き終わったらドーナの鍋に全部入れてくれ。」
「はいは~い。わかったわ~。」
最後の肉を焼き終えたランは、野菜の入っている鍋に肉を全て投入した。
「よし、それじゃ水をいれるぞ。」
その鍋にたっぷりの水を注いで再び火にかける。
「これはかき混ぜなくていいのかい?」
「あぁ、まだ大丈夫だ。」
カレーはルゥをいれてから混ぜ始めないと、じゃがいもが崩れてしまうからな。
火にかけていると、ポコポコと沸騰し始めたので先に隠し味を投入する。
「それじゃドーナ、シアと場所変わってくれるか?」
「わかったよ。」
ドーナとシアが場所を入れ換え、今度はシアに手伝ってもらう。
「じゃあシア、いまから調味料を入れていくから、その木ベラで鍋の中をかき混ぜてくれるか?」
「うん!!シア頑張るっ!!」
隠し味である中濃ソース、ケチャップ、そしてはちみつを鍋に入れていく。
これらをいれることによって、味に深みが出て美味しくなるのだ。
「そしたら一回火を止めて、ルゥをいれるぞ。」
今回使うのは、以前使ったのと同じフレークタイプのルゥだ。この手のタイプは水に溶けやすいから、楽でいい。
そしてある程度とろみがついてきたら、一度沸かして……っと。
「よしシアもう大丈夫だ。熱かっただろ?ありがとう。」
「うぅん!!大丈夫っ!!」
「それじゃご飯もそろそろ炊けるから、盛り付けるぞ~。」
五穀米も炊き上がり、みんなでカレーを盛り付けていった。
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