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第四章
不自然な戦争宣言
しおりを挟む「えっとですね、まず国王が戦争を宣言したのはつい一昨日のことなんです。」
「その前に何か予兆みたいなのはなかったのか?」
「いえ、まったく……。ホントに突然発表されたんですよ。」
「よく国の重役達がそんなことを了承したねぇ。」
予兆もなく突然にそんなことを発表したっていうのか?国民の混乱を招くなんてことは考えなかったのだろうか。いや、重役という存在がいるならそういうことにも目がいくはずだ。やっぱり何かおかしい気がする。
「それで、今回の戦争の目的はなんなんだ?目的なしに戦争をおこすわけじゃないはずだろ?」
「はい、その目的なんですが…。獣人という存在の隷属化、及び国土の拡大が目的らしいんです。」
「ふむ、妥当といえば妥当か。」
だが、言い方を変えればこの目的は少し不自然だ。なぜ今このタイミングで戦争を決めた?もっと前にも仕掛けるタイミングはあったはず。
それに普通仕掛けるなら仕掛けるで、もっと準備を整えてからじゃないか?兵士を募集している辺り兵力がまだ足りない状態なのだろう。たとえ数合わせで兵士を募集して、新たに増えた兵士は戦力になるか?
くそっ、考えれば考えるほど沼にはまりそうだ。
「ちなみにいつ攻め込むとかそういう情報は入ってきてるか?」
「い、いえ…今はまだ兵力が十分じゃないみたいで、当分は兵力の増強をするみたいです。それでギルドにも兵士への勧誘を進めるようにとお達しが来てました。」
まだ猶予はあるみたいだな。だが、兵力が整ったらすぐにでも仕掛けるつもりなのだろう。あまり長い目では見ない方が良さそうだ。
「なるほどな。大方理解はできたよ、ありがとう。」
「いえいえ!!このぐらいでしたら全然……。」
「さて、それじゃ仕事の邪魔をするのも悪いし…そろそろお暇するよ。」
聞きたいことも聞けたしな。後は買い物をして、帰ったらシン達に現状を報告しないといけないな。
「あ、そうだ。一つ言うの忘れてたよ。」
「はい?」
「近くの森の中に俺達の家があるから、冒険者の皆には近づかないように勧告していてもらいたい。」
もし、近づかれてシンやライラの姿を見られたら不味いからな。
「それぐらいでしたらお安いご用です。お任せください。」
「すまない助かるよ。それじゃまた近いうちに顔を出すから、そのときはまた頼む。」
そしてミースに見送られて俺たちはギルドを後にした。
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