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第四章
異様な雰囲気
しおりを挟む森を抜け街へと続く街道を歩いていると、ふとドーナがつぶやいた。
「それにしても、この道を歩くのも久しぶりな感じがするねぇ。」
「そうね、獣人の国にそんなに長居したわけではないけど……。ここの道を通るのもすごい懐かしく感じるわ~。」
「それだけ濃密な日々をあっちで過ごしたってことだな。」
あっちで過ごした時間は確かに長い時間ではなかったが、一日一日の時間がとても濃かった。襲撃があったのも然り、二人とデートしたり… とにかく毎日いろんなことをしていた
そんな何気ない会話をしながら歩いていると、あっという間に関所が見えてきた。
「なんか今日はいつもよりやけに兵士の数が多くないか?」
「それもそうだけど、なんか妙にピリピリしてる感じがするよ。」
「何かあったのかしらね?」
「取りあえず聞いてみないことには始まらないか。」
兵士の数を増やしてる…ってことは何かに備えてるのか?魔物?それとも何か別の……。さまざまな憶測が頭をよぎるが全てが未確定。
兵士に話を聞くために俺たちも検問の列に並んだ。そして徐々に列は進み、ついに俺たちの番になった
「はいステータスカード…ってドーナさんじゃないですか?」
「ん?アタイのこと知ってるのかい?」
「それはもう、数少ない白金級まで登り詰めた伝説の冒険者ですから……。」
「やめてくれ、アタイはもう冒険者は引退したんだ。んで、なんか妙に物々しい雰囲気だけど、何かあったのかい?」
対応してくれた兵士にドーナは問いかけた。
「ご存じないですか?ついこの前国王が戦争宣言をしたんですよ。」
「戦争だって!?どことだい!?」
嫌な予感が頭をよぎる。そしてその予感は現実となった。
「獣人族とです。」
最悪だ。もうその言葉しか出てこない。
しかもタイミングも悪い。よりにもよってシンがこっちに来ている時に……これじゃシンと国王が会うなんてことは不可能だ。
「それホントなのかい?」
「はい、紛れもなく本当のことです。それで今はどこの街でも今はこんな風に厳戒体制で検問をしているんです。まぁそれと同時に兵士に採用できるような強い人間を兵士に引き入れるように仰せつかってます。」
今、獣人族と戦争を起こしたとして人間に何の利益がある?何のために戦争をするんだ?何か引っかかる。
兵士をかき集めているってことは、まだ準備は整っていないってことだから、今のうちに情報を集めるしかない。とにかく今はこの戦争って話題に関してなんでもいいから情報が欲しいな。
「そうだったんだねぇ。……あぁ、これアタイ達のステータスカードだよ。」
「はい、確認しました。どうぞお入りください。」
そして俺たちは関所を抜けて異様な雰囲気の漂う街の中へと足を踏み入れた。
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