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第四章

イリス特製タコライスのお味は…

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 みんながタコライスを口へ運ぶ瞬間を、イリスは固唾を飲みながら見守っていた。

「あ~むっ……ん~っ、美味しい!!イリスお姉さん美味しいよ!!」

「うんうん、とっても美味しいわ。これは負けてられないわね!!」

「アタイもこれぐらい美味しいのが作れるように頑張らないとねぇ~。」

「美味しいっす~!!お代わりしてもいいっすか!?」

 思ったとおりだった。みんな美味しく食べてくれている。

「なっ、言っただろ?」

「え、あ……はいっ!!」

 思わずイリスは呆気にとられていたようだ。あれだけ不安に駆られていたが、それが一気に吹き飛んだのだ。
 呆気にとられるのも無理はない。

「さて、じゃあ俺も食べるかな。」

 スプーンで野菜と一緒に挽き肉とご飯を掬って口へと運ぶ。

 うん、味付けされた挽き肉とご飯がとても良く合う。それにトマトの酸味があるから、あっさりと食べることもできて、食欲のない朝でも食べやすい。

「うん、美味しいな。初めてやってこのぐらい作れれば大丈夫だ。」

「うぅ~、良かったです~。」

 不安が払拭されたせいか、イリスは少し涙ぐみながらタコライスを食べていた。
 こうしてイリスの初めての料理は大成功し、今日の朝食も美味しく食べることができたのだった。

 そして朝食を食べ終わった俺達は出発の準備を整えていた。

「今日は徒歩で行かねばならんのだったな?」

「あぁ、馬車じゃあの洞窟は通れない。」

 だから今日は昨日より疲れる旅になるかもしれない。だが、ここを抜ければもう人間の国だ。
 すぐ近くに街もあるから食料の補充もできるし、布団も買える。

 シンを流石に人前に出すわけにはいかないから、当分の寝泊まりはこのハウスキットになる。

 みんなが準備を終えてハウスキットから出たのを確認して、ハウスキットをバッグにしまった。

「じゃあみんな準備はいいな?」

 大丈夫だと思うが一応皆に確認をとった。すると思った通り、大丈夫だったらしい。

 それならもう出発してしまおう、早く出発することに悪いことはないからな。そして、以前ここに来るために通った洞窟の入り口へと向かった。

「ここが例の入り口なのだな?」

「あぁ、ここを抜ければ人間の国に着くぞ。」

「こんなものがまだ残っていたとはな……昔い風習の名残とはいえ今回は感謝せねばな。」

 シンは少し嫌みを含めながら言った。そういえばシンがあの風習をなくした……とベルグが言っていたような気がするな。
 彼からすれば、本当はこういう物が残っている事が許せないのだろう。

「では向かうとしよう。人間の国へ。」

「あぁ、そうだな。」

 そしていよいよ、シンと共に人間の国へと繋がる洞窟へと足を踏み入れるのだった。
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