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第四章

安全確保

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 あの不気味だった森を抜けると、目的地だった村が目前に迫った。襲撃の跡が未だに残っているため、ほとんどの建物は半壊している。

「グレイスこの先で馬車を停めよう。」

「了解っす!!」

 いざ、村の中へと馬車で入ると……。

「グエェェェェ!!」

 気持ちの悪い鳴き声と共に、馬車の前に魔物が現れた。その魔物は以前この村に来たときにいた、あの骨の魔物だ。

「邪魔っす!!」

 グレイスの前に入った魔物が、無惨にも前足で踏みつけられ粉々になった。

 以前は確か燃やして灰にしたんだったよな。こんな感じで粉々にされたらどうなるんだ?
 グレイスが次々に粉々にしていく魔物を観察してみるが、復活する気配はない。どうやら原型がなくなるまで粉々にすれば、復活はできないっぽいな。

「まだまだいるな。てか集まってきてるのか?」

 そこら中からこの魔物と同じ気配がする。このままじゃゆっくり休めないな。

「グレイス、一旦止まっていいぞ。」

「え?あ、了解っす!!」

 グレイスに馬車を止めるように指示を出し、俺は馬車から飛び降りた。

 地面に降り立ったところで、両腕に意識を集中させる。

「纏い衣……炎。」

 両腕にフレイムブレスを纏わせた。

「それじゃ片付けるか。」

 タンッと地面を蹴り、闇夜に飛び出して辺りから集まってきている気配のもとへ向かう。
 そして片っ端から炎を纏わせた拳で魔物を打ち砕き殲滅する。

 纏わせている炎はかなりの高温らしく、拳が触れ炎が爆ぜると跡形もなく魔物は燃え尽きてしまう。

 魔物の殲滅を始めて数分後には、辺りから魔物の気配は消え失せ、静寂が辺りを包んでいた。

「ひとまずはこれで大丈夫だろう。」

 辺りの安全を確保した俺は、馬車が止まっている方向へと足早に戻った。

「あっ!!ヒイラギさん大丈夫っすか!?」

 俺の姿を見つけると、妙に焦ったようにグレイスが言った。

「ん?特に何も問題はないが……。」

「さっきヒイラギさんが走って行った方に、ゴーストが飛んで行ったんすよ?でも無事だったみた……いっ!?」

 グレイスが話している途中で驚き言葉につまる。そして翼爪を震わせながら、俺の後ろを指差した。

「ひ、ヒイラギさん!!う、後ろ!!後ろっす!!」

 ひんやりとした何かを感じる背後をゆっくりと振り返ると……。

「ケケケケケケ♪」

「………………。」

 こちらを見て楽しそうに笑っていた何かを視界に入れた瞬間、俺は意識を失った。
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