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第四章
現れたゴースト
しおりを挟む「それにしても意外ねぇ?てっきりあなたには怖いものなんて無いと思ってたわ。」
「誰にだって怖いものの一つや二つはある。たまたま俺はそれが幽霊とかゴーストってだけだ。」
「ふぅん……まぁいいわ。そろそろ周りをうろちょろされるのも癪なのよ。ここは私が何とかするわ。」
リリンはそう言うと体を多数のコウモリに分裂させ、馬車の上に降り立った。
「そんなとこに立ってどうするつもりだ?」
「どうするって、決まってるじゃない?ゴーストをここで倒すのよ。」
ゴーストを倒すだって?そんなことが可能なのか?
「ちなみにどうやるんだ?」
「まぁ見てなさい。」
そしてリリンは周りをキョロキョロと見渡した後、ある方向を睨み付けた。
「ほら、わざわざ私が出てきたのよ?さっさと姿を見せなさい。」
リリンがそう言ってのけると、どこからともなく空中に小さな白い玉がたくさん現れ、一ヶ所に集まりだした。
そして集まった白い玉は、こちらの恐怖心を掻き立てるような悍ましい姿へと変貌を遂げる。
「残念だけど、私はヒイラギみたいに恐怖なんて感情は抱かないわよ。」
リリンは右手で大鎌を構えると、ゴーストへと向かって飛んだ。
「ドレインリーパー。」
彼女は何かのスキルを発動させ、大鎌でゴーストを一太刀で真っ二つに切り裂く。
すると、切り裂かれたゴーストは彼女の手の大鎌へと吸い込まれていった。
「ふん、まぁこんなものね。」
大鎌をどこかへと消すと、彼女は馬車の上から降りてきて、俺の隣に座った。
「感謝してくれてもいいのよ?あなたが恐れをなしていたゴーストは私が退治したわ。」
「あぁ、助かったよ。……ちなみに、どうやってゴーストを倒したんだ?なんか取り込んでたように見えたが。」
「簡単な話よ。ゴーストは言ってしまえば、魔力の塊みたいな魔物。その魔力を残らず私が吸い取ったってわけ。」
「ほぉ~、なるほどな。」
そういうことなら、もしかするとやり方次第では俺もゴーストを倒せるかもしれない。
「ただ、質の悪い魔力を取り込んだせいでちょっと気持ち悪くなったわ……。私ちょっと休んでるわね。」
そう言ってリリンは馬車の中へと戻っていった。
彼女には感謝しないとな……。これで安心して進める。
「グレイス、もう少しで着くはずだ。頑張れるな?」
「もちろんっす!!いやぁ、ゴースト倒してくれて助かったっすよ~。自分も怖かったっす。」
そしてゴーストという脅威が取り除かれた夜道を、グレイスとともに進むのだった。
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