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第四章
おにぎり
しおりを挟む「みんな、ちょっと遅れたが朝食にしよう。」
「ご飯っ!!」
「ちょうどお腹空いてたのよ~。今日のご飯はなにかしら?」
みんなに銀の包みがたくさん入った籠を手渡した。
「今日の朝食はこれだ。みんな一つ手にとって銀色の包みを開けてみてくれ。」
不思議そうにしながらも、一人一つ銀色の包みを手に取りペリペリと音をたてながら開けた。
「これ、なんだい?」
「これはな、おにぎりっていうご飯を三角に握った料理だ。中には具が入っててそれと一緒に回りのご飯を食べるんだ。」
これはこういう旅路の時のことを考えて、事前に作りおきしておいたものだ。
おにぎりやサンドイッチは手軽に食べられるし、バリエーションも豊富だから楽しみながら食べることもできる。
「ふぅん、まぁこれ一個位だったら今の私でも食べられるわね。」
「別に一個と言わず、もっと食べられるようだったらいっぱい食べてもいいんだぞ?」
いつもリリンはそんなことをいいながらたくさん食べてるからな。きっとこれもたくさん食べてくれるはずだ。
「ボクはたくさん食べれるよ!!朝ちゃんとヒイラギさんに血をもらったしね。」
フレイはリリンと違って最初から食べる気満々だな。まぁ、美味しくたくさん食べてくれるなら料理人冥利に尽きるってものだ。
「それじゃあ俺はグレイスに食べさせてくるから、先に食べてていいからな。」
馬車を引っ張ってくれてるグレイスだけお預けというのは、流石に酷だからな。
そして自分とグレイス分のおにぎりをとって、運転席に戻ると……。
「「「いただきま~す!!」」」
後ろの馬車から元気な声が聞こえてきた。
ちなみにおにぎりの具材は、定番のツナマヨと鮭、後は肉味噌に……数ある中一個だけ梅。
好き嫌いが起きないように梅を入れなくてもよかったんだが、梅干しを食べた人の酸っぱそうな顔が面白そうでついつい入れてしまった。
まぁ、こんないたずら心は自分に返って来がちなんだよな。
「さ、グレイスもご飯だぞ~。」
「やったっす!!」
「口の中に放り込んであげるから、ちょっとこっち向いて口を開けてくれ。」
「了解っす~。あ~っ………。」
大きな口をあんぐりと開けたグレイスに、アルミホイルを取ったおにぎりを放り投げる。
「あ~んッ!!んふ~、美味しいっす!!」
「もっと食べるか?」
「もっと欲しいっす!!」
ひとまず先にグレイスのご飯を済ませてしまおう。自分の分はその後でも構わない。
大きな口を開けて待つグレイスに、ポンポンとおにぎりを与え続けた。
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