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第四章
マジックバッグの異常
しおりを挟むひとまず最初の目標地点は、前にベルグと会ったあそこの街だな。
普通の馬よりグレイスの方が速いから、余裕で着けるとは思うけど……。なるべく休憩を挟みながら行きたいから、長い目で見ておこう。
「お兄さん!!」
ぴょこんと後ろの馬車からシアが顔を出して俺の名前を呼んだ。
「ん?どうした?」
「シアお腹減っちゃった……。」
そういえば今日はまだ朝御飯を食べていなかったな。だが、こんなときのために色々と作り置きはしてある。
俺はあるものを思い浮かべながら、マジックバッグに手を入れた。
そして掴んだものを引っ張り抜くと……。
「きゃっ♪ヒイラギさん朝から大胆ですね♪」
「………………。」
何も見なかったことにして、すぐにバッグの中に手を戻した。
おかしいな……。思ったものと違うものが出てきたんだが。まぁ何かの間違いが起こったのだろう。
きっともう一回やればちゃんと出てくるはずだ。そう信じて、俺はもう一度マジックバッグに手を入れて掴んだものを取り出した。
「ヒイラギさんが取り出したかったものはこの銀の包みに包まれた物ですか?それともわた…………。」
「………………。」
再び誤って取り出したものをバッグの中へと戻した。
ダメだ。物にはやはり寿命というものが存在するらしい。このマジックバッグもついに壊れてしまったようだ。
この世界に来てからこれにはずいぶん助けられた。だが、壊れてしまったものは仕方がない……。黙ってハウスキットを使って料理するか…ってハウスキットもこの中だった。
大事なものは全部この中に入れていた。まさかこんなに速く壊れるとは、思ってもなかったからな。
…………とまぁ冗談はこの辺にしておくか。
俺は再びマジックバッグに手を入れて、掴んだものを取り出した。
「……おはようイリス。」
「ふふっ♪おはようございますヒイラギさん。」
マジックバッグから俺に掴まれて出てきたのはイリスだ。昨日の宴会の時に一杯のお酒で気持ち悪くなってこの中に退避していたが、どうやら二日酔いなんかはないらしいな。
「相変わらず元気そうだな。」
「はい、私はいつだって元気ですよ?」
にこにこと眩しい笑顔を浮かべながらそう答えるイリス。昨日の宴会の時の姿を鏡で見せてやりたい。
「それでイリス?さっきの銀の包みはどこにやった?」
「ちゃんとありますよ~。」
するとイリスは、バッグの中から籠に入った大量の銀の包みを取り出した。
「ちなみにこれは何ですか?」
「これが今日の朝食だよ。」
そして、俺は後ろの馬車に乗っているみんなに声をかけた。
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