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第四章
グレイスの真の姿
しおりを挟むフレイの吸血が終わった後、自室に戻ってきたところで俺はみんなに声をかけた。
「みんな準備はいいか?」
「もちろんバッチリよ。」
「アタイもいつでも大丈夫だよ。」
「シアも大丈夫!!」
「自分もようやく鱗が固まってきたんで行けるっす!!」
俺がリリン達の部屋を訪ねている間にちゃんと準備を整えていたらしい。よし、それじゃあ出発だ。
「じゃあ行こうか。」
準備ができた俺たちは、今まで世話になった部屋を後にして王宮の入り口へと向かった。レイラの後に続き王宮の中を進んでいると、ふとあることが気にかかった。
「そういえば、シンは大丈夫かな。」
結局散々ミクモに付き合わされていたからな。もしや今日はグロッキーになっているのではないか…と心配になった。
「シン様はとてもお元気でいらっしゃいますよ。いつもよりもお元気かもしれませんね。」
「そうか、安心したよ。」
レイラ曰く、いつもより元気らしい。心配するだけ野暮だったな。もしかしたら、公務やらなんやかんやの重荷から解放されたっていう喜びの方が大きかったのかもしれない。
まぁ、そこのところは後でゆっくり聞くとするか。
シンが元気ということに安心しながらも王宮の中を進んだ。気のせいかもしれないが、いつもは長く思えた王宮の廊下が今日はとても短く感じた。
そんなことを感じながら歩いていると、あっという間に入り口に着いてしまった。
「さて…っとそれじゃあグレイス、もとの大きさに戻ってくれるか?」
「了解っす!!ん~ッ!!」
ぐぐぐっと体に力を入れ始めたグレイスは徐々に元の大きさに戻り始めた。
「ん?ちょっとおっきくなったか?」
いつもの小さいマスコットサイズでは大きさの違いは分からなかったが、いざこうして元の大きさに戻ってもらうとよく分かる。
今の段階の大きさでも既に以前の大きさを越えているのだ。それにまだ大きくなるみたいだな。
「んん~っ……!!はぁ~……。」
ある一定の大きさまで到達するとグレイスは大きく息を吐き出した。どうやら元の大きさに戻ったらしい。
以前より一回り位大きくなっているな。それに…なんというかちょっと顔つきもドラゴンっぽくなっているような気がする。
「あらあら、結構大きくなったじゃない?」
「前とは大きさが全然違うねぇ。」
「えぇ!?グレイスがおっきくなっちゃった!?ズル~い、シアももっとおっきくなりたい~。」
みんなも大きくなったグレイスに驚いていた。特にシアなんかは、ジト目で大きくなったグレイスを妬んでいた。
(いずれシアもちゃんとおっきくなるよ……。)
さてグレイスに馬車の装備を着けないとな。俺はマジックバッグから、しばらく使っていなかった馬車を取り出して装備をグレイスに装着していった。
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