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第四章

乱暴な扱いを受けるヒイラギ

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 その後、身支度を整えた俺は一度部屋を出て、リリン達がシンに借りている部屋へと向かった。

「ヒイラギ様こちらです。」

「うん、ありがとう。」

 レイラにリリンたちの部屋の前に案内してもらい、早速扉をノックした。すると中からライラが出てきた。

「おはよう、リリン達は起きてるか?」

「今ちょうど身支度をしているところだ。」

「そうか、準備ができたら王宮の入り口に来るように伝えてくれ。」

 そして部屋を後にしようとすると、彼女に肩をガシッと捕まれた。

「どこへ行く?妹様の食事がまだ済んでいない。」

「い、今、身支度を整えてるんだろ?」

「確かにそうだが、妹様の食事の方が優先事項だ。だがお嬢様たちのお着替えを見せるわけにはいかない。だから貴様の目は封じさせてもらう。」

「いっ!?ちょ、ちょっと待っ……。」

 少しの抵抗も許されず、あっという間にライラに目隠しをされてしまった。そして部屋の中へと引っ張られていく……。

「ちょっとライラ、何でヒイラギをここに連れてきたのよ。」

「お嬢様、妹様にこいつの血を飲ませなければなりませんので。」

 乱暴に椅子に座らせられると強引に上着を剥ぎ取られた。目隠しをしているせいか、ひどく羞恥心を煽られると共に朝で気温が低いせいで寒い。

「妹様、どうぞお召し上がりください。」

「ら、ライラ……こんなに乱暴にしちゃダメだよ?ヒイラギさんはボクに血液を提供してくれている立場の人なんだからね?」

「は…申し訳ございません。以後気を付けます。」

 そしてこちらにカツカツと足音をたてながら誰かが近づいてくる。この気配は恐らくフレイだろう。

「ごめんねヒイラギさん、ライラが乱暴にしちゃって。」

「いや、問題ない。昨日酒を入れてしまった俺の責任もある。長旅に備えてしっかり吸ってくれ。」

「あ、ありがと。それじゃあ…えっと、いただきます。」

 右肩が一瞬熱くなると、ゆっくりと血が吸われていく感覚を感じる。それと共に体を密着させているフレイの心臓の音、そして血液を呑み込む音が視界を封じられているせいでいつもよりも敏感に感じとれてしまう。

「んっ、んくっ……。」

 フレイが吸血を始めて約十分ほど…彼女は俺の肩から口を離した。

「もういいのか?」

「うん!!ばっちりだよ~、ごちそうさまでした。」

フレイに血を与え終えると、再びライラに引っ張られて部屋から放り出されてしまう。

「では準備が終わったら向かう。」

 乱暴に剝ぎ取られた上着をこちらに放り投げると、ライラは部屋の扉を閉じてしまった。
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