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第四章
大宴会に相応しい最高の肉
しおりを挟む宴会が始まると同時に、みんなは各々好きな料理を取り皿に盛り付け、食べ始めようとしていた。そんな中、まじまじとステーキを見ていたシンが俺に聞いてきた。
「む?今日の肉は黒乱牛ではないのだな?」
「あぁ、今日のは特別な肉だ。もしかすると食べたらわかるんじゃないか?」
シンがサラマンダーの肉を食べたことがあるかはわからないが……まぁ、答え合わせは一度食べてみてからでもいいだろう。
同じ席にいるジルは既に気がついているみたいだがな。そしてシンはステーキを一切れフォークで刺し口へと運んだ。
「むっ!?」
「どうだ?美味いか?」
「美味い……美味すぎる。黒乱牛なぞ比にならん。いったいなんの肉なのだ?」
黒乱牛じゃ比にならない…か。まぁあんだけ強かったからな、それだけ美味しくなきゃ割に合わない。
「これはな、サラマンダーの肉だ。」
その言葉に先程までざわざわとしていた会場が静まり返った。そんなに大きな声で言ったつもりはないんだが…みんなに聞こえてしまったようだ。
「さ、サラマンダーの肉だと!?」
「ほら前に討伐したって言っただろ?今日そこにいるジルとグリズ達から受け取ってきたんだ。」
「確かにその話は聞いていたが、まさかこの場で使うとは……。」
「勝利祝いの宴会の食材にはぴったりだろ?」
今回の宴会に参加していた獣人達も、まさかサラマンダーの肉が目の前に並べられているとは思っても見なかったらしく、食べる手が止まってしまっていた。
そんな中ドーナたちはサラマンダーの肉に舌鼓を打ちながら、食べ進めていた。
「ん~♪流石は竜種のお肉ね。甘くて口の中で溶けちゃうわ~。みんな食べないならワタシが全部食べちゃうわよ?」
「冷めちゃったら勿体ないし……あむっ、うん!!こいつは美味しいねぇ~。」
「シアも食べるっ!!あ~むっ!!んん~♪おいひぃ~。」
「まさか自分より強い竜種の肉を食べることになるとは思わなかったっす!!」
「ふふっ…うふふふっ♪とっても美味しいです。」
そんなメンバーに視線を向けながら、俺はシンに笑いかけた。
「ほらほら、食べないとなくなっちゃうぞ?」
「それは困るのだ!!」
「ライラ!!私にも料理を早く取って頂戴!!」
「あっ!?ボクにも取って!!」
なくなってしまうという言葉に焦ったのか、みんないそいそと料理を食べ始めた。それに続くように周りの席でも獣人達が我先にと料理を食べ始める。
それでいい。遠慮はいらないんだからな。
さて、俺もサラマンダーの肉を食べてみようか。
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