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第四章
サラマンダーのフルコース
しおりを挟む「ふぅ、ようやく切り終わった。」
さすがにこの量ともなると時間がかかったな。ステーキのように大きく切るのならそんなに時間はかからなかっただろうが、唐揚げ用に一口サイズに切り分けるとなると流石に手間だった。
「さ、時間のかかるやつから仕込んでいこう。」
まずは以前シンが食べたいと言っていたデミグラスソース煮込みだな。ベルグ達に作った時はじっくり煮込んだが、今回この肉は柔らかそうだから大きい圧力鍋で一気に調理する。
「肉の表面を焼いて野菜と一緒に圧力鍋に入れて、デミグラスソースを流し込んで火にかける。」
後はこのまま少し火にかけておけばいい。ただ、以前と同じじゃ面白くないから少し盛り付けは変えようかな。
「次は草食の獣人達が食べられるようにサラダを仕込もう。」
ただ、サラマンダーも食べてもらいたいから薄く切った生の肉を使ってカルパッチョ風にしよう。鑑定を使ったところ、このサラマンダーの肉は生食できるらしいからな。
まずは皿に肉を並べて、その上に極薄にスライスした玉ねぎをのせる。後は上から角切りにしたトマトとアボカドを散りばめてブラックペッパーを振りかければ……。
「よし、サラマンダーのカルパッチョ完成っと。ドレッシングは好みがあるから、何種類かテーブルに並べよう。」
本当ならこれの盛り付けはドーナ達でもできるが、こんなに大量に盛り付けさせてしまうとみんなの方が焦ってしまいそうだからな。
焦りは事故に繋がる。もう少し料理に慣れ始めたら少しずつ任せていこう。
サラダを盛り付け終わり、圧力鍋の火を止めた。圧力鍋はこのまま圧力が抜けるまで放置だ。
「次は唐揚げだな。」
唐揚げは言わずもがな、下味を付けた肉に片栗粉をまぶして揚げるだけだ。ただ、火の通しすぎには気を付けないとせっかくの美味しい肉が台無しになりかねない。
「うん、まぁこんなもんだな。」
表面がきつね色になり、肉から出てくる泡が均一な大きさになったら揚げ上がりだ。
「よし、後は油をきっておいて…今のうちにステーキを焼くぞ。」
唐揚げの油をきっている間にステーキを焼く。ここからがスピード勝負だ。唐揚げが冷める前にステーキを焼き上げなければならない。
全ての火口にフライパンを並べてなるだけ多くのステーキを一度に焼いていく。表面と裏面に焼き色がついたらそれでいい。後は余熱で火が入る。
全てのステーキを焼き終えた後、余熱で火を通している間に唐揚げを器に盛り付ける。まだ暖かく、衣もサクサクとしているから間に合ったみたいだな。
ステーキも食べやすいように切り分けて器に盛り付ける。焼き加減はミディアムレアだ。最高の焼き加減だろう。
「最後にデミグラスソース煮込み。」
大きいグラタン皿に盛り付け、その上にチーズを散りばめる。最後にバーナーで焼き色を付けて完成だ。
「よ~し完成だ。」
後はレイラ達に手伝ってもらおう。前掛けを外して厨房から出ると、俺はレイラに声をかけに向かった。
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