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第四章

サラマンダーの肉の仕込み

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 時刻は夕暮れに近づき始めた。

(さて、そろそろ仕込みを始めるとするか。)

 席を立ち再びコックコートに着替える。

「さてさて、一頑張りするか。」

「ワタシ達も手伝う?」

「いや、かなり量が多くて大変だから大丈夫だ。それに俺もみんなのことを見る暇がないかもしれない。事故が起こったら大変だ。」

 忙しい時というのは周りに目がいき辛くなる。長いこと料理長を務めているものであればそういうことはほとんどないのだが、生憎俺は料理長なんて務めた経験はないからな。
 みんなの面倒を見ながら今回のような大量の調理をやりきる自信はない。もしそのせいで包丁で手を切ったりとか、事故に繋がってしまう可能性も大いにありうる。

「だからみんなは休んでて大丈夫だぞ。」

「じゃあシアはお兄さんのこと見てるっ!!」

「あんまり近くに来ると危ないから、気を付けるんだぞ?」

「うん!!」

 そして俺は厨房の中へと入り、早速調理を始めることにした。

「まずは切り分けから始めないとな。」

 解体されたサラマンダーの肉は、まだまだ人が食べるような大きさではない。今からこれを食べやすい大きさに切り分けていく。

「まずはシンプルなステーキ用に切り分けていこう。」

 今回は大量にサラマンダーの肉があるから、一人一枚食べられるように量を調整して切る。

 肉を切り分けるために包丁を入れるとスッと包丁が肉に沈みこんだ。筋肉質かと思いきや、とても柔らかい肉のようだ。あっさり包丁が入るため、あっという間にステーキ用の肉は切り終えてしまった。

「後は表面に塩とブラックペッパーで下味を付けて最後に焼こう。」

 ステーキはすぐに焼き上がるから最後に仕上げる。

「次は唐揚げ用に一口サイズに切り分けて…。」

 これだけ大きいと一口サイズにするのも一苦労だな。みんなたくさん食べるだろうから、大量に用意しておかないとな。
 量が量の為時間がかかったが、何とか切り分ける事ができた。

「よし、後は合わせ調味料に浸けておこう。」

 醤油、味醂、酒、ニンニク、生姜を合わせた調味液にサラマンダーを浸して……後は味を染みこんだら揚げるだけだな。

「さ、残りの料理の分もパッパと切り分けてしまおう。」

 今回作る料理ごとにサラマンダーの肉を切り分け、ひとまず仕込みの第一段階は終了した。
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