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第四章

ヒイラギがいた世界のこと

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 昼食を食べ終わったあと、各々好きな飲み物を飲みながらゆったりと休憩をしていた。

「そういえばこのコーラって飲み物には、最初呑んだときは衝撃をうけたねぇ。」

 ふと思い出したかのようにドーナが呟いた。確か初めて彼女がコーラを飲んだときは、炭酸のシュワシュワにビックリしてたな。

「なんかパチパチしてるし、すんごい甘いくて美味しいし…この世の飲み物とは思えなかったよ。」

「ね~?こんなのがヒイラギの世界ではそこら辺でたくさん売ってるのよね?」

「あぁ、道端に自動販売機っていう機械があってな。お金を入れて欲しい飲み物のボタンを押すと、その飲み物が出てくる便利な機械があった。コーラはもちろんのこと、お茶とかオレンジジュースとかも売ってるぞ。」

「ホント便利な世界よね~。ヒイラギはこっちに来て不便とかって思ってないの?」

「信じられない思いこそあったが、そんなことは思ったことがないな。魔法でいろんなことができるし、何より面白い。」

 この便利すぎるハウスキットがあるという理由もある。この世界で唯一、電気も水道もガスも使える場所だ。挙げ句の果てには、使った調味料はいつの間にか満タンに補充されているのだ。
 みんなが飲んでいる飲み物も調味料の枠に入っているらしく、常に満タンの状態が維持されている。まぁ確かにビールとかコーラとか、オレンジジュースは結構料理にも使うからな。

 ハウスキットのありがたさに改めて心の中で感謝を述べていると、誇らしそうにイリスが胸を張っていた。

(本当に感謝してるよ。)

「それに向こうだと結構お金に悩まされたが、この世界に来てからはお金に余裕もできた。」

 サラマンダーの肉が想像以上の金額で売れてしまったからな。おかげさまで、これから先よっぽどのことがない限りお金に困ることはないだろう。

 あの時のジルは凄かったな。近くにいた従業員に「店の金庫を今すぐ持ってきなさい!!」と言って、凄い頑丈そうな金庫を持ってこさせてたからな。
 彼は金庫の中にある白金貨全てでサラマンダーを買おうとしていたが、流石に申し訳ないという事でこっちがジルの言い値を値切るはめになったのだ。

「あ、そうだ。」

 ふとあることを思い出した俺は、席を立ってハウスキットのドアの前に立っていたレイラに声をかけた。

「レイラちょっといいか?」

「いかがなさいましたか?」

「市場にある魔物肉専門店の店主のジルって人と解体師のグリズと二人のお弟子さん……それと鍛冶師のエノールを今晩の宴会に招待してもらえないか?」

「かしこまりました。」

 レイラはメイド服のポケットから鈴を取り出してチリンチリン……と鳴らした。すると、すぐに一人のメイドがこちらに向かって足早に駆けつけた。

「魔物肉専門店の店主のジルと解体師のグリズ、及びその弟子二人……そして鍛冶師のエノール。この五人にこの書状を渡してきなさい。間違えてはなりませんよ?」

「かしこまりました。」

 書状を渡されたメイドは足早に王宮から出ていった。

「ただいま招待状を持たせました。」

「うんありがとう。」

 これでジル達もサラマンダーを食べに来れるだろう。彼らにはこの国でお世話になったから、最高の料理で迎えてあげないとな。

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