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第四章

出発までに…

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 朝食を食べ終えたところで、早速各々行動を始めることにした。

「我とミクモ殿は引き継ぎの作業に移ろう。」

「行ってくるのじゃ~。」

 シンとミクモは王宮の中へと入っていった。それを見送ると、俺の隣でリリンが大きなあくびをしていた。

「ふわぁ~……私達は明日に備えて夜まで寝直すことにするわ。あなた達の時間感覚に合わせないと。」

「そっか、わかった。」

「ヒイラギさんまたね~!!」

 そしてリリン達も王宮の中へと戻って行った。

「さて俺達は……っと。」

 みんなの様子を伺ってみると、元気を装ってはいるものの、疲れが抜けきっていないようにも見える。

「みんな、今日はゆっくり休んでくれ。明日は少し長旅になるからな、疲れが残っているとツラいぞ?」

「それじゃあその言葉に甘えて、少し休ませてもらおうかしら。」

「あぁ、そうするといい。出発前の準備とかは俺がやっておくから、その辺は心配しないでいい。」

「ヒイラギは休まないのかい?」

「俺か?ん~、まぁある程度睡眠はとれたからな。問題ない。」

 そう答えた俺に二人は苦笑いする。

「ホント、ヒイラギって疲れ知らずよね?」

「一番疲れてるはずなんだけどねぇ。」

「まぁまぁ、俺のことは心配せずにゆっくり休んでくれ。ほら、そうこうしてるうちに、シアがうとうとしてきてるみたいだぞ?」

 さっきから静かだな~と思っていたが、シアも満腹になって眠気が襲ってきてるみたいだ。

「あら、ホントね。じゃあワタシ達はゆっくり休ませてもらうわ。」

「ヒイラギも無茶はしちゃダメだよ?」

「わかった。夕方までには戻るよ。」

 二人にそう約束した後、みんな王宮の中へと戻っていった。

 さてさて、それじゃあ準備を始めようか。

 いざソファーに手をついて立ち上がろうとすると……。

「ふぎゅっ!?」

「ん!?グレイス!?」

 満腹になって、幸せそうな顔をして寝ていたグレイスを手で潰してしまった。

「ご、ごめんな?気が付かなかった。」

「このぐらいシアちゃんに比べればどうってことないっすよ。……ていうか、ヒイラギさん一人っすか?他のみんなはどこ行ったっす?」

「みんなは疲れてるから休みに行ったよ。グレイスは疲れてないのか?」

「自分っすか?別にヒイラギさん達みたいに戦ってた訳じゃないんで、疲れてはないっす。」

「そうか……。どうする?みんなと一緒に寝るか……それとも俺と一緒に明日の準備をするか?」

「そんなの決まってるじゃないっすか!!もちろんヒイラギさんと一緒に行くっす!!」

 決意を固めたグレイスは、パタパタとこちらに飛んできて肩に掴まった。

「グレイスちゃんはこっちですよ♪」

 それも束の間、ひょいっと後ろからイリスに持ち上げられ、グレイスは結局イリスの胸に抱かれてしまった。

「イリスも一緒に行くか?」

「一人でじっとしてるのはつまんないですからね♪あっ、大丈夫ですよ?ちゃんといっぱい神華樹の果実持ちましたから。」

 どうやら準備万端のようだな。

「よし、じゃあ行くか。」

 ハウスキットをしまい、グレイスとイリスとともに街へ向かって歩き出した。
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