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第四章
提示された条件
しおりを挟む「まったく、なんで妾が国王代理なんぞをやらねばならぬのじゃ。」
「我以外に国王が務まるのはミクモ殿しかおらぬのだ。この通りだっ!!」
椅子に座りぶす~っとしているミクモに、シンが床に頭を擦り付けながら頼み込んでいた。
流石にこの姿はシンに信頼を寄せる人たちには見せられないな。
「はぁ~……わかった、わかったから面を上げろシン坊。」
シンの迫真の土下座に根負けしたミクモがため息を吐きながらそう言った。
「おぉ!!では……。」
「ただし!!条件があるのじゃ~。」
そう言ってミクモは俺の方をチラッと見てきた。
「そ、その条件とは!?」
「うむ!!妾はお主が作った油揚げを所望するのじゃ!!」
ビシッとミクモは俺を指差して、油揚げを所望してきた。
(うん……なんとなくそんな感じだと思った。)
「油揚げって何なの?」
「そういう名前の食材だ。」
「ふぅ~ん、美味しいの?」
リリンのその質問にミクモが鼻息を荒くしながら答える。
「まさに極上のものじゃ!!この妾を虜にしてしまえ程の……なっ!!」
「そ、そうなのね。」
興奮しているミクモの様子に、若干リリンは引き気味だ。しかし、興味はそそられたらしい。
「その油揚げってやつ私も食べてみたくなったわ。」
「じゃあみんな朝ご飯もまだだし、油揚げを使った料理をまた作ってみるか。」
「わ、妾は山盛りが良いぞ?」
「わかった。その代わりちゃんとシンの代わりに国王代理を務めてくれよ?」
「お安い御用なのじゃ!!むっふっふ、油揚げ~♪楽しみなのじゃ~♪」
よし、しっかりと約束してもらった。これでシンが人間の国に行っている間は大丈夫だな。
「それで今日は何を作るのじゃ!?この前のキツネうどんか!?」
「今日は稲荷寿司を作ろうか。」
「な、い、稲荷とな!?ま、またとんでもない名前のものがきたのじゃ……稲荷様は狐の神様じゃぞ。」
「こっちにも稲荷様っているのか?」
「そういう伝承があるのじゃ。」
「ほぉ~……ちなみに今日作る稲荷寿司は、その稲荷様が好きだからそういう名前がついたって言われてるな。」
「やはり稲荷様も油揚げの魅力には逆らえなかったというわけか……うむ、やはり油揚げは罪深いものじゃ。」
こちらの世界に稲荷様の伝承があるのには驚いた……。狐の神様って存在してるのかな?今度イリスに聞いてみよう。
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