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第三章
切り開いた運命
しおりを挟む奴が生首だけの姿になると、俺を拘束していた大地がもとに戻り、拘束から解放された。
ドーナ達も同様で、彼女たちの拘束も解かれるとこちらに向かって駆け寄ってきた。
「ヒイラギッ!!」
「大丈夫かい!?」
「なんとか……な。二人も無事でなによりだ。」
貫かれた腹の傷は超再生がなんとか頑張って修復してくれている。ただ、さっきの一撃で魔力の殆どを使い切ってしまったから治りは遅いみたいだが……。
お互いの無事を喜び合っていると、こちらに生首を片手にリリンが歩み寄ってきた。
「ヒイラギ、良く頑張ったわね。」
「リリンもな。よく俺の合図があるまで我慢したよ。」
リリンがこの場に来ていることは、奴の影に入ったときに知っていた。
あとはその秘策とやらに賭けて、奴が最も無防備な瞬間を彼女に頷いて伝えたのだ。
「傷はまぁまぁ深そうだけど……立てる?」
「悪いがもう少し休ませてくれ、今は足に力が入らない。」
先ほどまでの戦闘で足にガタが来てしまっていたため、立ち上がることができない。
もう少し休めば歩けるぐらいには回復するとは思うが……。
「それじゃ少しそこで休んでなさい。私もうるさいこいつをしまっちゃうから。」
そしてリリンはスキルを使うと、生首が真っ赤な四角い箱にしまわれた。
「これでよし…っと。あ、そういえばあなた、あの何でも入るバッグ持ってたわよね?」
「あれならフレイに預けてきたぞ。」
「あら残念……せっかく手荷物を減らせると思ったのに。」
「まさかその生首をバッグに入れるつもりだったのか?」
「もちろん。」
「勘弁してくれ……。」
フレイにバッグを預けてきて本当に良かった……。そうしみじみと思っていると。
「それよりまだ歩けないの~?焦れったいわね。」
「そんなことを言われてもな、さっきまでの戦い見てたんだろ?」
「えぇ見てたわよ?あなたが自分の攻撃を反射されて死にかけてたところもね。」
クスクスとリリンは笑いながら言った。
(こんの……言いたい放題言ってくれるじゃないか。ちょっとムカッと来たぞ。)
「ほらほら?手を貸してほしいのよね?それなら~、ちゃんとしたお願いぐらいできるでしょ?」
ニヤニヤと笑いながら俺を見下ろしながらそう言ってきたリリン。
そうくるなら……俺にも考えはある。まぁ、ここは一度彼女の興に乗ってやろう。
「り、リリンさん……。な、軟弱な私にあなた様のお手をお貸しください。」
「わかってるじゃない♪ほら手を貸してあげるわ。」
そして俺は差し出されたリリンの手を掴み取ると、ニヤリと笑ってリリンと目を合わせた。
「お仕置きだ。」
「うぇっ!?ちょ、まっ……はにゃあぁぁぁぁぁ!?」
少しだけ残っていた魔力を使って、リリンに電撃を流し込んだ。
それのせいですっかり魔力がすっからかんになり、お互いに地面に倒れると、その光景を見ていたドーナ達が口々に言った。
「せっかく残してた魔力、全部使い切っちゃったのね。」
「まぁ、ヒイラギが大人しくあんなことするとは思えなかったけど……。」
「ふふっ、負けず嫌いだものね~。」
二人は魔力切れで意識を失ったヒイラギの顔を見て、お互いにクスッと笑みを浮かべると、リリンとヒイラギの事を担いで帰還するのだった。
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