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第三章
3匹のドラゴン
しおりを挟む元のサファイアドラゴンの姿に戻ったランは、悠々とこちらに歩み寄ってきた。
「ワタシの場合は、人間の姿でドラゴンの力を扱うよりもこっちの姿の方が魔力効率もいいし、威力も大きくなるわ。」
カパッと彼女は口を開けると、天に向かって青白いブレスを吐いた。
「魔力効率がいい……か。」
試しに全力でサンダーブレスでも撃ってみるか。
上を向いてサンダーブレスをイメージしながら口を開けると、見たこともないほど太い雷の光線が空を切り裂いた。
「おぉ、確かに威力は上がってるような気がする。」
「でしょ~?魔力もそんなに消費してないと思うわよ。」
試しにステータス画面を開いてみると、以前確認した時とは明らかにステータスの値が変わっていたことに気が付く。
「ん?んん?」
(なんでこんなにステータスが上がっているんだ?見たこともないスキルもたくさん表記されているし……身に覚えがないぞ。)
不思議に思っていた最中、ある可能性を見出した。
「まさか……。」
俺は自分の首にかかっていたマジックバッグへと向かって鑑定を使った。すると、しまっておいたはずのものが無くなっていることに気がつく。
「やっぱりだ、宝玉が全部なくなってる。」
自分で食べた……のか?無意識のうちに?……いや、全部なくなっているということは無意識のうちにやったことじゃなさそうだな。
思考を巡らせていると、俺はリリン達と出会った時のことを思い出す。
(俺がフレイにかけられていた盟約を破壊したという記憶がすっぽ抜けている空白の時間……考えられるのはあの時か。)
そう考察していると、ランが体をくっつけてきながら問いかけてくる。
「ねぇ~、ぼ~っとしてるけど何か不思議なことでもあった?」
「いや、なんでもない。」
「な、なんでそんなにくっついてるんだいっ!!」
俺に密着しているランに負けじとドーナがおぼつかない足取りで、ランの反対側に体を密着させてくる。人間の時とは違って素肌ではなく、硬い鱗がザリザリと音を立てて擦り付けられている。
そして不意に龍化を解いて急速に人間の姿に戻ると……。
「きゃっ!!」
「わっ!?」
間にいた俺が抜けたことで二人が体をぶつけあってしまう。
「いたた……ヒイラギ、もう人間に戻っちゃうの~?」
「あぁ、この姿で試したいことができた。ドラゴンの姿でできることはまたゆっくり探すよ。」
俺が人間の姿に戻ると、二人も人間の姿へと戻っていく。
「さ、それじゃあ改めて二人がどのぐらい成長したのか……見せてもらおうかな。」
二人が戦っているところは何度か見たが……俺が実際に戦って実力を見たわけじゃないからな。どのぐらい腕を上げたのか、見せてもらおう。
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