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第三章
世話焼きなミクモ
しおりを挟む「シン坊の方は問題ないとして、問題はお主のほうじゃなぁ。」
シンから明日のことを詳しく聞いたミクモは俺にそう言ってきた。
「何か勝算はあるのかの?」
「戦ってみないとわからないが、負けるつもりもない。」
「くく、自信はあるようじゃな。」
「まぁな、今回戦うのは俺一人じゃない。ドーナとランもいる、それにリリンもいるからな。」
その言葉に満足したようにミクモはうなずいた。
「気負っておるかと思ったが、余計なお世話だったようじゃな。」
「ミクモも一緒に戦ってくれてもいいんだぞ?」
「冗談申すな、この老いぼれにできることなんぞ何もない。妾にできるのはせいぜいお主らが後ろを気にせず戦えるよう、シン坊を手伝ってやることぐらいなものじゃ。」
「そっか。」
「それに、もしもの時には保険も必要じゃろうからなぁ。」
最後にぽつりとミクモはそう言うと席を立ちあがった。
「さて、妾は満足したからの。そろそろ帰って寝直すとするのじゃ~。」
「む?ミクモ殿、もう行ってしまうのか?」
「シン坊とてやることがあるのじゃろ?妾が居ては気が散ってしまうじゃろうしな。じゃあの、主……頼んだのじゃ。」
そう言い残しミクモは立ち去って行った。しかし、店を立ち去って何歩か歩いたところで、なにかを思い出したかのようにこちらへと走ってきた。
「すっかり忘れておったのじゃ!!嬢の服もほれちゃんと直したぞ!!」
そしてミクモはシアにすっかり元通りになった服を渡した。
「ふわあぁぁ!!お姉さんありがとう!!」
「うむうむ、よいのじゃぞ~。ちゃんとお礼が言えて良い子じゃ。また服を直してほしかったらいつでも来て良いからの?」
「うん!!」
「それではの~♪」
今度こそミクモは立ち去って行った。その時のミクモの表情はとても満足したような表情だった。
後々確認して判明したことなのだが……直してもらったシアの服にちゃっかり可愛いキツネの刺繡が入っていた。
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