上 下
399 / 1,052
第三章

狐といえば…

しおりを挟む

「ミクモはもう朝食は済ませたのか?」

「妾かの?まだ済ませてはおらぬが……。」

「なら一緒に食べていかないか?袴をつくってくれたお礼に腕を振るうよ。」

 ちゃんとしたお礼をしてなかったからな。朝食がお礼がわりになるかは、ちょっと微妙なラインではあるが……。

「ミクモ殿、ヒイラギの作る飯はとんでもなくうまいぞ?食べねば損をするぐらいだ。」

「そうなのか?ではお主の言葉に甘えるとするかの。」

 ミクモも食べていってくれるようだ。よし、腕によりをかけて作るとしよう。

 張り切って腕をブンブン回していると、どこからかシアがグレイスを連れて突然現れ、俺の腰にぎゅっと抱きついてきた。

「お兄さん!!今日の朝ご飯はなに~?」

「ん、シアか。今日の朝ご飯……そうだな。」

 今回はお礼も兼ねて、ミクモの好物を作ってやりたいが……狐といったらやはりなのだろうか?

「今日はを作るか。」

 俺のその発言にミクモはビクッと体を震わせた。

「お、お主っ!!な、なんなのじゃ、その物騒な料理は!?」

「ん?あぁ、何か勘違いしてるみたいだが…別に狐を食べるわけじゃないぞ?」

「ならばなぜと名がついておるのじゃ?」

「それはな、狐が大好きと言われる物が入ってるからだ。」

「狐が大好きなもの?」

 ミクモはいまいちわかっていないらしい。
まぁ、豆腐がなければ当然もないわけだから……わからないのも無理はないな。

「まぁ仙狐のミクモがそれを好きかどうかはわからないが……。」

「まぁ良い。狐を食べるわけではないのじゃろ?」

「当たり前だ。」

 狐を使う料理でないことがわかったミクモは、ホッと胸を撫で下ろした。

「ヒイラギよ、あの建物を出すのならばこの訓練所を使って良いぞ。今日は兵士の訓練はないからな。」

「わかった。」

 俺は訓練所の中央に行ってハウスキットを展開した。これを出現させても、まだまだこの訓練所にはスペースが空いている。

 こうしてみると凄まじい広さだな。

「な、なんなのじゃ!?急に建物がでてきたのじゃ!!」

「こういう便利な物があるんだ。ビックリしただろ?」

 急になにもなかった空間に建物が出現したことに、ミクモは大層驚いていた。
 まぁ初めて見れば、みんなこういう反応になる。

「まぁ中に入って休んでてくれ、俺は厨房で朝ご飯を作って来るから。」

「シアもお手伝いしたい!!」

「ワタシもやりたいわ。」

「アタイもやるよ!!」

「あんまりやることないけど……いいか?」

「「「うん!!」」」

 シア達も手伝ってくれるらしい。じゃあせっかくだし、野菜とか切ってもらおうかな。

(……まてよ?そうなると俺のやることがほとんどなくなるような気が…………まぁいいか。)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い異世界転生。何も成し遂げることなく35年……、ついに前世の年齢を超えた。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

処理中です...