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第三章
狐といえば…
しおりを挟む「ミクモはもう朝食は済ませたのか?」
「妾かの?まだ済ませてはおらぬが……。」
「なら一緒に食べていかないか?袴をつくってくれたお礼に腕を振るうよ。」
ちゃんとしたお礼をしてなかったからな。朝食がお礼がわりになるかは、ちょっと微妙なラインではあるが……。
「ミクモ殿、ヒイラギの作る飯はとんでもなくうまいぞ?食べねば損をするぐらいだ。」
「そうなのか?ではお主の言葉に甘えるとするかの。」
ミクモも食べていってくれるようだ。よし、腕によりをかけて作るとしよう。
張り切って腕をブンブン回していると、どこからかシアがグレイスを連れて突然現れ、俺の腰にぎゅっと抱きついてきた。
「お兄さん!!今日の朝ご飯はなに~?」
「ん、シアか。今日の朝ご飯……そうだな。」
今回はお礼も兼ねて、ミクモの好物を作ってやりたいが……狐といったらやはりアレなのだろうか?
「今日はキツネうどんを作るか。」
俺のその発言にミクモはビクッと体を震わせた。
「お、お主っ!!な、なんなのじゃ、その物騒な料理は!?」
「ん?あぁ、何か勘違いしてるみたいだが…別に狐を食べるわけじゃないぞ?」
「ならばなぜキツネと名がついておるのじゃ?」
「それはな、狐が大好きと言われる物が入ってるからだ。」
「狐が大好きなもの?」
ミクモはいまいちわかっていないらしい。
まぁ、豆腐がなければ当然アレもないわけだから……わからないのも無理はないな。
「まぁ仙狐のミクモがそれを好きかどうかはわからないが……。」
「まぁ良い。狐を食べるわけではないのじゃろ?」
「当たり前だ。」
狐を使う料理でないことがわかったミクモは、ホッと胸を撫で下ろした。
「ヒイラギよ、あの建物を出すのならばこの訓練所を使って良いぞ。今日は兵士の訓練はないからな。」
「わかった。」
俺は訓練所の中央に行ってハウスキットを展開した。これを出現させても、まだまだこの訓練所にはスペースが空いている。
こうしてみると凄まじい広さだな。
「な、なんなのじゃ!?急に建物がでてきたのじゃ!!」
「こういう便利な物があるんだ。ビックリしただろ?」
急になにもなかった空間に建物が出現したことに、ミクモは大層驚いていた。
まぁ初めて見れば、みんなこういう反応になる。
「まぁ中に入って休んでてくれ、俺は厨房で朝ご飯を作って来るから。」
「シアもお手伝いしたい!!」
「ワタシもやりたいわ。」
「アタイもやるよ!!」
「あんまりやることないけど……いいか?」
「「「うん!!」」」
シア達も手伝ってくれるらしい。じゃあせっかくだし、野菜とか切ってもらおうかな。
(……まてよ?そうなると俺のやることがほとんどなくなるような気が…………まぁいいか。)
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