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第三章
お仕置き ミクモver
しおりを挟む「シン!?大丈夫か?」
「う、うむ…すこし視界に星がちらつくが問題ない。」
意識があるようで安心した…それにしても大きなたんこぶだな。ドーナとランがシンに手を出すとは思えない。
恐らくは……チラッと犯人であろう人物の方を向くと、白々しく下手な口笛を吹きながら明後日の方角を見ている。
「……ミクモ?」
「わ、妾はな~んにも知らないのじゃ~。」
あくまでもしらを切るつもりか…。いいだろう、ならこっちにも考えがある。
明後日の方角を向き、いまだに口笛を吹いているミクモに近づき俺は彼女の頭の上でピコピコ動いている狐耳を軽く指でつまんだ。
「ひゃう!?」
つまんだ瞬間にミクモは全身から力が抜けたようで、ペタンと座り込んでしまった。
「お、おぬゅし!!にゃにをするのじゃ!!はにゃすのじゃ~!!」
か弱い抵抗を見せるミクモを見下ろしながら、俺はぽつりと彼女に向かって言った。
「……悪戯が過ぎる悪い子にはやっぱりお仕置きって必要だと思うんだ。」
「ひっ!?ま、待つのじゃ!!は、はなしあうのじゃ……の?のっ?」
彼女の必死の懇願に対する答えの代わりに、俺は彼女の弱点らしい狐耳をもみくちゃにマッサージした。
「のほぉぉぉぉーーーっ!!??」
医務室という空間にミクモの悲鳴が木霊する。
それから数分後……シンのとなりのベッドにびくびくと痙攣しているミクモが転がっていた。そんな彼女の姿を見てドーナたちが口々に言う。
「ヒイラギって時々容赦ないわよね。」
「でもあんなお仕置きなら……ちょ、ちょっとやられてみたいかも…ねぇ。」
最近ドーナの性格がわからなくなってきた。M気質な部分もあればSな部分もある。彼女にお仕置きするようなことが起こらないよう祈りたい。
「それにしてもヒイラギのその服…とっても似合ってるわね。」
「なんていうか、凄い着なれてる感じがするよ。」
「そうか?」
ミクモが作ってくれたこの道着と袴は、ミストゴートの毛を染めずにそのまま用いて作ってあるらしく、純白の装束になっていた。
上下白の装束は着たことがなかったから、似合っているかなんてわからなかったが…二人いわく似合っているらしい。
「だが、こんなに白いと汚れが目立ちそうだな。」
純白の装束のためかなり汚れが目立ちそうだ。手入れが大変そうだな。
「そ、その心配は無用じゃ。」
ヨロヨロとミクモが起き上がりそう言った。
「どういう意味だ?」
「しっかりと妾が編んだミストゴートの毛に汚れなんぞ付かん。返り血であろうと泥水であろうと関係なく弾くのじゃ。」
超高性能じゃないか…手入れが簡単でいいな。
「わ、妾にもっと感謝してもよいのじゃぞ?」
「ありがとうミクモ。お礼にもっかい耳摘まんであげようか?」
「や、やめるのじゃ!!こっちにくるでない!!」
必死に手を前に出して、来るなという意思表示をしているミクモ弄りをしばらく楽しむのだった。
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