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第三章
ミクモのいたずら
しおりを挟む翌日……。
まどろみから意識が覚醒し始めると、妙な違和感を感じ取った。
(なんだ?妙に顔周りが温かい……それにほんのり甘い香りもする。まだ夢の中にいるのか?)
ふと目を開けると、視界が肌色で覆いつくされていた。
「むぐっ!?」
何かが顔を圧迫していて息ができない。もがこうにも両腕は、ドーナとランの二人にがっちりホールドされており動かすことはできず、モゴモゴと息をするために口を動かすことしかできなかった。
「おん?起きたかの?」
必死に息をしようと口をモゴモゴさせていると、聞き覚えのある声が頭上から聞こえた。
「むっふっふ、妾の胸に包まれながら迎える朝はどうじゃ?極楽じゃろ?」
「むぐ!?」
(み、ミクモ!?なんで彼女がここにっ……っていうか早く退いてくれ!!)
唯一動く頭を振って、抵抗の意思を見せるが……。
「これ、そんなに暴れたら服がはだけてしまうじゃろ?それともお主……もしやわざとやっておるのか?」
ミクモの口調からも、彼女がこちらの反応を楽しんでいることがわかる。
「ふわあぁぁ……寝ているお主達を見たら妾も少し眠くなってきたのじゃ。昨日は徹夜したからのぉ~。」
「むぐっ!?むぐぐ~!!」
嫌な予感が背中をよぎり、抵抗の力を強める。すると……。
「むぅ、こそばゆいのじゃ。お主、モゴモゴ口を動かすでない。満足に寝られぬではないか。」
更にギュッとミクモは俺の顔に胸を押し付けてきた。もう口すらも満足に動かすことができない。そんな俺のことなんてお構いなしに寝息を立て始めたミクモ……。
俺の意識も再び暗闇へと落ちていった。
◇
「ハッ!?」
再び意識が覚醒しガバッと体を起こすと、俺は先程まで寝ていた場所ではない別の部屋のベッドの上にいた。
「い、生きてる。」
なんとかミクモの胸で窒息死は免れたらしい。あの後誰か助けてくれたのか?
周りをキョロキョロ見渡すが、俺以外この部屋には誰もいないらしい。みんなどこへ行ったのだろうか……。
「誰かいないのか?」
そう誰もいない空間に問いかけるが、答えなど帰ってこない。ライラすらもいないのか。
「それにしても何でミクモが部屋にいたんだ?」
王宮に忍び込んで俺たちの部屋に入り込んだのだろうか?あの気配を消せる技があればなんとでもなりそうだな。
「シンもいたずら好きとは言っていたが……少しいたずらが過ぎるな。」
次会ったらお返ししてやろう。ミクモへの仕返しを企んでいると外から爆音が聞こえた。
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