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第三章
ニンニクと吸血鬼
しおりを挟むハウスキットの扉が開くと、ぞろぞろとみんなが中に入ってきた。
「う~む、今日もよい匂いがしておるな。」
「焼いた肉の匂いっす!!もうお腹ペコペコっす~。」
「きょ、今日こそ自重するわ……。」
「ボクは我慢しないよ~?」
リリンとフレイの声を聞いて、ある重要な事柄を忘れていたこと気がついた。
(ハッ!?吸血鬼ってニンニク大丈夫なのか?しまった…確認を怠った。不味いぞ、今回の料理ほとんどニンニクを使ってる。)
いつものテーブル席についたみんなのもとへ料理を運んでいく最中、リリンに聞くことにする。
「なぁリリン、食べられない食材ってあるか?」
「な、なによ急に……。」
「いや、コレとか食べられるか?」
俺はリリンにニンニクの現物を見せた。
「ガリクじゃない。それの何が問題なの?」
「食べてお腹壊したりしないか?」
「それを食べたぐらいでお腹壊したりなんてしないわよ。」
ホッ……ひと安心だ。日本での知識はこちらで通用するとは限らないようだな。こっちの吸血鬼はニンニクも大丈夫……っとしっかり頭にインプットしておかないと。
料理を配膳し終えた後で、俺も席に座る。チラッと周りを見てみると、グレイスとシンが今にも口からヨダレが垂れそうになっていた。
早く食べさせてあげるために、手を合わせるとみんなも手を合わせた。
「いただきます…。」
「「「「いただきま~す!!」」」」
恒例の挨拶が終わると、凄まじいスピードでシンとグレイスはステーキにかぶりついた。いったいどんだけ肉に飢えてたんだ……。
「美味しいっす~!!」
「うむ……うむ!!やはりうまい最高だ!!」
ステーキにかぶりつくなり、二人は言った。二人は本当に美味しそうに食べてくれるし、食べっぷりもいいから作った側からすれば気分がいい。
ドーナたちはまずヤギ汁から味わっているようだ。
「このスープも美味しいねぇ~。」
「ピリッとした感じもワタシ好き~。」
ヤギ汁はどうやら好評らしい。ミストゴートの肉はもともと臭みが少なかったから食べやすいのかもな。
「お兄さん!!このお醤油つけて食べるやつも美味しい!!」
「ね~、新鮮なお肉だからとっても美味しいよ!!」
「少し血が味わえるのもいいわ。まぁ、コレならたくさん食べても……。」
「ふふっ、今日もどれも美味しい料理ですね。」
てっきり好き嫌いが分かれるかな……と思ったが、みんなの様子を見ている限り美味しく食べてくれている。
「さて、俺もそろそろ食べようかな。」
みんなの反応が上々だったことにほっと安堵しながら、俺もミストゴートの料理を食べ始めるのだった。
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