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第三章
意思を持った武器
しおりを挟むそして武器の性能を確かめた後、ある事件が起こった。
「あれっ!?は、外れないよコレ!?」
カチャカチャと籠手を外そうとしているドーナが焦りながら言った。
「ど、どうすればいいんだい!?」
彼女があたふたと焦る最中、その籠手に変化が現れた。あろうことか、籠手がドロドロと液状になり始め、ドーナの服に同化し始めたのだ。
「だ、大丈夫かドーナ!!」
彼女のもとに急いで駆け寄ったが、既に籠手は服と完全に一体化してしまったようだ。
「エノール、これはどうなってるんだ?」
「わ、わからねぇ。」
エノールも突然の事態にかなり動揺してしまっている。
「ドーナ、何か体に異常はないか?」
「特には……ないけど。」
ドーナは自分の着ている服を触ったり引っ張ったりして確認しているが、特にコレと言って異常は見受けられないようだ。
「まさか一体化するとはな。」
「………これも推測になっちまうが、多分さっきのリビングウェポンは嬢ちゃんのことを相当気に入ったんじゃねぇのかな?それこそ片時も離れたくない程にな。」
女神の希石は、イリスの神気を大量に注がれて作られた鉱石だ。不思議なことが起こってもおかしくはない……。
「まさに意思を持った武器か、凄い物ができたな。」
エノールの言ってる通り、武器の方はドーナのことを気に入っているようだし、特に危害を加える様子もないから大丈夫……だよな。
「だけどコレ、使いたいときどうしたらいいんだい?」
「出てきてくれってお願いしたら出てくるんじゃないか?」
「う、うーん……まぁものは試しか。出てきな。」
そう彼女が呼び掛けると、その声に応じたかのように先程まで服と同化していた籠手が再び元の形に戻り、ドーナの腕に装着された。
「戻って良いよ。」
今度は戻るように言うと、籠手は再び彼女の服と同化した。
次第に武器の扱い方をわかってきた様子のドーナに、エノールが問いかける。
「上手いことやれそうかい嬢ちゃん?」
「あぁ、大丈夫。こんな良いのを作ってくれて感謝するよ。」
「別に何もやってねぇさ。こんなすげぇ鉱石を扱わせてくれたんだ、こっちの方が礼を言いたいぐらいだぜ。」
決戦前に、ドーナに心強い味方ができた。あの武器はきっと、大いに彼女に力を貸してくれることだろう。
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