転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第三章

リビングウェポン

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「それでな、またその固まってた鉱石に火を入れたんだが……。」

「そしたらまた動き出した……と。」

「おう、そうなんだよ!!そんで動き出したら何かを探して工房の中を動き回り始めたんだ。」

 ほぅ、だいたい話が掴めてきたぞ。

「まさかと思ってよ、嬢ちゃんの籠手をそいつの目の前に置いたら……どうやら探し物はそれだったらしくてな。魔鉄と同じように呑み込んじまった。」

「それで動きがなくなってその場所にあったのがコレってわけだな。」

 もし、エノールの言っていることが全て真実であれば、この籠手は既に女神の希石と魔鉄……更にはもともとの素材のミスリルが全て混ざったものということになる。

「そういうこった。見た目は同じだが、間違いなく材質は変わってる。明らかにミスリルじゃあねぇ。」

「何はともあれ、試しに着けてみればいいんじゃないか?」

「そうだねぇ。」

 ドーナはカチャカチャと自身の腕に籠手を装着していく、その次の瞬間……。

「ッ!?な、なんか動いたよ!?」

「動いた?」

「こう…完全に腕にはまったって言えばいいのかい?勝手に調整されたっぽいんだよ。」

 どうやら動く原因は熱を加えることではないらしい。ドーナが籠手を腕に装着して蠢きだす……なんか生き物みたいだな。

 不思議に思っていると、ドーナのその感想にエノールが驚愕しながら声を上げた。

「ま、まさかになっちまったってぇのか!?」

「リビングウェポン?」

「御伽噺に出てくるだ。そんなもん眉唾物だとばっかり思ってたが……嬢ちゃん!!そいつを一回外してみてくんねぇか?」

「わ、わかったよ。」

 ドーナが再び籠手を外そうとすると、ほんの少し籠手が緩んだように見えた。それを見たエノールが確信したように叫ぶ。

「間違いねぇっ!!こいつぁリビングウェポンだ!!今、確かに持ち主が外しやすいように形を変えやがった!!」

 興奮しながらドーナの籠手に見入るエノール。

「しっかし、まさか生きてるうちにリビングウェポンを見ることができるとは思ってもなかったぜ。」

「リビングウェポンが生きている武器ってのはわかったが、その他に何か分かってることはないのか?」

「わからねぇ、なんせ今まで作ったヤツがいなかったからな。」

「そうか……。」

「そんなに大層な物アタイが持ってていいのかねぇ。」

 自分には不相応だと思ったのかボソッとドーナが呟いた。

「何言ってんだ!!そいつは嬢ちゃん、あんたを選んでんだ。」

「アタイを?」

「おうともさ。試しにあんた…着けてみな。」

「俺が?」

 エノールに言われるがままドーナの籠手を着けようとするが……。

「ん?ダメだ、着けられない。」

 まるで拒絶されているかのごとく腕がはまらない。ドーナのように着けやすくなったりすることはまったくない。

「なっ?これは嬢ちゃん専用の装備だ。可愛がってやんな。」

「アタイ専用の装備……。」

 再び籠手を自分の腕につけると、彼女はそれをじっと見つめていた。

「自分に不相応かどうかは実際に使ってみればいいさ。それに、もし本当に不相応なら武器の方がドーナを拒絶するんじゃないか?」

 不相応かどうかは、実際に使ってみればきっとわかるはずだ。

「それなら裏にある木人形で試してみりゃあいい。」

 そしてエノールに案内され工房の裏に移動した。さぁ、ドーナのリビングウェポンがどんな感じの武器になったのか見せてもらおう。
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