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第三章
エノールとの再会
しおりを挟む教会をきれいにして一休みした後で、俺たちは王宮へ戻るため大通りを歩いていた。
「ここはやっぱり夕方でも人通りが多いな。」
時刻は夕方を過ぎている。それでも未だにこの大通りは賑わっていた。王宮へと向かって歩いていると目の前から見覚えのある獣人が歩いてきた。
「ん?あれは……。」
こちらが存在に気がつくと、あちらもこっちに気がついたようだ。
「おぉ!!ちょうどよかったぜ。今王宮から帰って来たところだったんだ。」
「エノール、王宮に行ってきたってことはもうできたのか?」
前から歩いてきていたのはドーナの武器の修理を依頼していたエノールだった。
「おうとも!!まぁこんなに速くできたのはちょいとばかし予想外の出来事も重なったんだが……それも含めて俺の店で話さないか?」
「夕飯まではまだ少し時間があるからな、別に構わないぞ。」
そしてエノールの工房へ行き、ドーナの武器について聞くことにした。
「よっと、こいつが今回できた代物だ。」
ゴトリとエノールがテーブルの上に今回できた武器を置く。それを見たドーナが首をかしげた。
「何も変わってないように見えるけどねぇ。」
「あぁ、それも関係してんだ。今回起こった予想外なことっつうのはよ。」
エノールが頭の後ろを手でボリボリかきながらぼやいた。
「聞かせてもらってもいいか?」
「おうとも、まず武器や防具をつくるときにはその素材を一度ドロドロにする必要があるんだが……それはわかるな?」
「まぁなんとなくはな。」
「今回も同じように女神の希石ってやつを溶かそうとしたんだが、そこで衝撃的なことが起こった。信じられねぇかもしれねぇが、溶かした女神の希石が勝手に動いたんだよ!!」
エノールの口から語られた出来事は思わず耳を疑ってしまうような出来事だった。
「溶けた女神の希石が動いた…だって?」
あの鉱石が意思をもって動いたとでも言うのか?そんなことがあり得るのか?
……でもあれにはイリスの力がたっぷりと注がれてる。何か不思議な力でもあったのだろうか。
「それだけじゃねぇんだ。勝手に動き出したと思ったら、アンタたちがとってきた魔鉄を取り込んじまったんだよ!!」
「ほぅ……。」
「それで魔鉄を取り込んだらその日は一日中グニュグニュ蠢いてたんだ。あんまりにも衝撃的すぎてその日は鍛冶道具握れなかったぜ。」
想像してみるとなかなか気持ちが悪い光景だな。
「それで、その後はどうなったんだ?」
「朝起きて工房を確認したら、また元通りカチンコチンに固まっちまってたよ。」
熱を加えると蠢きだし、冷めると固まる……う~んいまいち女神の希石の性能というか、性質がわからない。
「それでな、また試しに火を入れてみたんだが……。」
エノールの口から更に驚きの出来事が語られ始めた。
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