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第三章
平和な一時
しおりを挟むスケイルフルーツをフォークで刺すと、刺した部分から果汁の飛沫があがった。切った時にも思ったがすごくみずみずしい果実だ。
そして口に運び、噛んでみるとシャキシャキという歯応えと共に大量の甘い果汁が口の中にほとばしった。
「すごいみずみずしいな……それに甘い。」
例えるなら、完熟して酸味の無くなったパイナップルのような甘さだ。このシャキシャキとした食感と甘さが相まってとても美味しい。
「これ美味しいわね!!ワタシこれ大好きよ。」
「甘いっす~♪」
スケイルフルーツはドラゴン達にも人気のようだ。
「次はそっちを食べてみようかしらね。」
「んふ~♪こっちもあみゃあぁぁい。」
そしてみんなでデザートを食べ進め、七色アプルについてわかったことがある。どうやら食べる際に赤、緑、黄、オレンジ、ピンクの五色になるらしい。
おそらく七色というのは、多彩な色に変化するということからそういう名前になったのだろうな。
「でもこれはこういう風に食べるのが一番合ってる気がするな。」
七色アプルは菓子などに使うには少しクセが強い果物だ。味が変わるというのは面白いが、食べる直前までわからないから、思った通りの味の調和を生み出すのが非常に難しいだろう。
まっ、なんにせよこの七色アプルは生で食べるのが楽しいし、味の変化も感じられるから最も適してると言えるだろうな。
対してスケイルフルーツだが、これは菓子として使い道はあるだろうな。いろいろなお菓子の幅が広がりそうな果物だった。後でいろいろ試作を重ねてみよう。
そしてデザートを食べ終わった俺達は各々紅茶やコーヒーを飲んだりしながら、ゆったりと休憩をとっていた。
「……平和だな。」
「ホントよね。」
「こんなに平和な毎日を過ごしてるのに、もうすぐまた襲撃が来るなんてねぇ。」
平和な時間ほど長く続かないものはない。だが、今回の襲撃を退けることができれば……その後しばらくはあっちも手を出しては来ないだろう。
(シンもまだ国民にこの襲撃のことは知らせていないみたいだし……。多分混乱を招かないように配慮してるんだろうな。)
これに関しては妥当な判断だろう。事前に知らせておくのは大切なことではあるが、時と場合による。
今の状況で再び襲撃があると国民が知れば混乱を招くのは間違いない。何せ一度大きな襲撃を退けた後でみんなが平和に溺れてる時だからな。
そんなときに再び襲撃があると知らせてしまえば……どうなるかは容易に想像がつく。
国民の避難誘導はぶっつけ本番になってしまうだろうが、そこはシンのカリスマ性を信じるしかないな。
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