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第三章
うさぎアプル
しおりを挟むコックコートに着替え厨房へ向かう。すると今日はドーナ達が手伝ってくれるらしく、コックコートに着替えて彼女たちも厨房に入ってきた。
「お兄さん!!シアもお手伝いするっ!!」
「なんやかんや最近ヒイラギに任せっぱなしだったものね。」
「今日はアタイも手伝うよ。」
ふむ、そんなに手伝うことも多くはないんだがあぁそうだ、この前買ったあれを切ってもらうか。
ごそごそとバッグに手を入れて、この前市場で買った果物を取り出した。
「あら?これって……。」
「そう、この前市場で買ったやつだ。」
七色アプルにスケイルフルーツだったか。
「今日はみんなにはこの果物を切ってもらおうかな。」
まずお手本を一回見せないとな。
七色アプルは一度流水で洗って八等分にする。確かこれは…食べる直前に色が変わるって言ってたよな。皮の色が変わるのか、それとも全体が変わるのか……。
わかんないから少し皮を残して剥こうか。少し皮を残して七色アプルをカットして皿の上に置いた。
「あっ、うさぎさんだ!!かわいい!!」
真っ先に気がついたのはシアだった。ただ皮を残すのは見映えが悪いからな、簡単な飾り切りでうさぎを作ったのだ。
「これワタシにもできるかしら。」
「まさか果物がうさぎになるなんてねぇ~。」
「簡単だぞ?ここに二本切れ込みを入れて剥くだけだからな。まぁ、失敗してもいいからやってみればいい。」
そしてみんなさっき俺がやったように七色アプルを剥き始めた。包丁の扱い方はみんなだいぶ慣れてきてるみたいだな。見ていて不安にならない。
ドーナ達の方は大丈夫だとして……俺はシアが包丁を扱えるか注視していた。なにせ初めて包丁を扱わせるからな。
しかしそんなの心配もいらなかったようで、まるで俺の動きを完全にコピーしたかのようにシアは包丁を扱いアプルの皮をあっという間に剥き終えると、こちらに見せてきた。
「お兄さん!!みてみて!!」
「おぉ!!良くできてるじゃないか。」
「えへへぇ~♪かわいい~」
「ま、負けてられないわよドーナ!!」
「わかってるよ!!」
シアに先を越されて焦ったのか、二人もいそいそとアプルでうさぎを作って持ってきた。
「どうかしら?」
「かわいくできてるといいけど。」
「うん大丈夫だぞ。あとはこれと同じように残りも剥いてくれるか?」
「任せて!!ドーナ、どっちが多く剥けるか勝負よ!!」
「望むところだよ!!」
また二人の間で勝負が始まった。さて、今日はどっちが勝つのかな?
「さて、こっちはスケイルフルーツを切ってみようか。」
大丈夫だとは思うが……一応シアのことを注視しながら、スケイルフルーツを切ってしまおう。どんな中身の果物なのか楽しみだな。
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