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第三章

二人目の駄女神

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 何か信仰を取り戻す策を考える前に、まず信仰があったときどんなことをしていたのか聞いてみようか。

「イリスから聞いたんだが、信仰を得るために奇跡を起こしたりしてたんだろ?」

「そうだよ~。」

「具体的にどんなことをしてたんだ?」

「例えば~弱った土を元気にしたり、少し実りを豊かにしたり……とか~。」

「アルはですからね。」

 ……待てよ?シンは確か農作物の不作が気になり始めたと言っていたよな。まさか不作になり始めた原因はアルの奇跡が起こらなくなったからか!?
 思わぬところで獣人族の食料問題の解決の糸口を見つけてしまったぞ。

「ちなみに奇跡を起こすにはどのぐらいの力が必要なんだ?」

「ん~、そんなに必要じゃないよ?今でも起こせるくらい。」

「だからと言ってまだ使っちゃダメですよ?」

「わかってるよ~。」

 こうイリスとアルのやり取りを見ていると完全に母と子のようなんだよな。まぁ、イリスの母性が強いのもあるんだろうが。

「それで~人間く~ん。何かいい案はないの~?」

 完全に人任せか……。このアルという女神、もしやイリス以上の駄女神なのでは?

「まぁ、信仰のことに関しては少しあてがある。任せてくれ。」

「さっすがぁ~!!イリスが見込んだだけあるね~。」

 少しは自分で考える努力はしてほしかったが…まぁ良しとしよう。病み上がりだからな。

「ダメですよヒイラギさんっ、甘やかしちゃダメです!!」

「そんなこと言ってもさ~。あたしら女神にはどうすることもできなくな~い?」

 確かにアルの言うことも一理ある。イリスのように直接地上に出てこれる女神はいない。だから必然的に頼らざるを得なくなってしまうんだよな。

 それにシンだってこの国の食料問題が解決するかもしれないことを知ったら、動かざるを得ないだろう。

「まぁそう言うなイリス、その人の言ってることも一理ある。それに病み上がりなのに無理して考えさせたっていい案は出てこないだろう。」

「いや~わかってるね人間くん。その優しさお姉さんときめいちゃうな~。」

「少し優しくしすぎですよ……まったくもぅ。」

 そうぼやきながらもイリスは、アルにもうひとつ神華樹の果実を渡した。

「はい、今すぐどうこうするのは無理でしょうから、これでなんとか持たせてください。」

「あれ?まだあったんだ~ありがと~。これ一個あればきっと100年は大丈夫だよ~。」

「それじゃあ私達はそろそろ行きますね。」

「近いうちにまた来る。今度はもっと人を連れてな。」

 そしてイリスとヒイラギはアルの空間から消えていった。

 二人が消えた後、女神アルは一人上を見上げて呟いた。

「頼んだよ~人間くん。この国を守ってね。」

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