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第三章
黒い歴史
しおりを挟む「まず、人間の王について話そうか。」
「あれか…例の獣人族とエルフを隷属化させようと企んでたやつだろ?」
イリスにそこは聞いていたから何となくはわかっている。
「うむそうじゃ。じゃがその政策に踏み込んだ王の先代……つまりは前国王じゃな。名は確か…アルマ……アルマ・エートリヒ。あやつが現役の時は三種族は平和に暮らしていたんじゃよ。」
「つまりその国王が変わってから、種族間の関係が変わったってことか…。」
「まぁそういうことじゃ。これは当時から生きている者でも一部の者しか知らぬが……その種族の関係を良好に保っていた国王が謀反で殺されたんじゃよ。」
「謀反だって?良さそうな国王に見えても、何か裏で黒いことをやってたりとかしてたのか?」
「いや、ただ単に国王の座を狙う卑しい者達の謀反じゃよ。その連中がお主も知っておる通り、妾達を奴隷にしようとした張本人じゃな。」
どこの世界にもそういうやつらはいるらしいな。国王を殺してまで私利私欲を満たしたかったのか……
狂人だな。
「そいつらは、もうそれから反発もなく国王に成り代わったのか?」
「反発なんぞ起こるはずはなかったのじゃ。なんせ国王の側近から騎士団まで…全てが丸め込まれていたのじゃからな。」
完全に計画的犯行だったって訳か。にしてもその前国王……そんなに人望が無かったのか?自分の配下全てに裏切られたようにも聞こえるが……。
「その前国王は人望はなかったのか?」
「ないわけなかろう。妾達やエルフ達にも優しく接し、自国の民のために身を粉にして動いておった人物じゃ。人望はかなり厚かったはずなんじゃが……。」
う~んなんか引っかかるな。そんなに人望が厚い人物が簡単に側近とかに裏切られるか?何かもっと裏がありそうな事件だな。
「それで国王が変わってから一気に他種族の扱いが変わったんだな。」
「そうじゃ、国王が変わってから今まで優しかった者たちも豹変したのじゃ。」
今まで優しくしてくれてた人達も豹変した?……やっぱりおかしい。国王が変わっただけで人の性格まで変わるか?
「それから三種族の対立が始まったってことか。」
「うむ。じゃが、国王が変わっただけで国民の性格まで変わるとは妾は思えないのじゃ。なにかもっと裏がある予感がしてならん。」
ミクモの思っていることはもっともだ。後でこっちでも調べてみるとしよう。
「妾が知っておる人間のことはこのぐらいじゃの。」
「ありがとう。あと、エルフについて何か知らないか?」
「あやつらは秘密主義な者が多いからのぉ。あまり妾も詳しくは知らぬがそれでもよいかの?」
「構わない。知っていることだけでいいから教えてくれ。」
「わかったのじゃ。」
エルフについて何か少しでも知れれば交流する方法が思い浮かぶかもしれない。
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