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第三章
はじめてのおつかい(仮)
しおりを挟むそれから少し時は流れ……俺達はとある平原に来ていた。
あの後シアにお願いしたところ二つ返事で了承してくれたため、ミクモにミストゴートがいる場所を聞いてここにやって来た。
「それじゃあシア頼んだぞ?」
「危なくなりそうだったらすぐにワタシ達が助けるからね。」
「うん!!シアがんばるよ!!」
ポンポンとシアの頭を撫でてから、シア以外の俺達はマジックバッグの中へと入った。俺達がいるとミストゴートは近づいてこないらしいからな。
だからここから先はもうシアに任せるしかない。一応作戦は分かりやすく伝えておいたから大丈夫だと思うが……。
◇
「えっと、この葉っぱをヤギさんにあげればいいんだよね。」
シアが片手に持っているのは三日月草だ。そこらの草より美味しいし、きっと寄ってきてくれるはず……とヒイラギが預けてくれたのだ。
「頑張ればお兄さんがきっと褒めてくれるから、頑張る!!」
シアはふんす!!と大きく鼻から息を吐いてヒイラギに褒められるために頑張る決意をする。
「でも、ヤギさんどこにいるのかなぁ?」
キョロキョロと辺りを見渡すが、辺りにはシアの背丈より低い緑色の草しかない。それにミストゴートは神出鬼没の魔物らしく、どこに現れるかはミクモもわからなかった。
「う~ん、取りあえずあっちに行ってみる!!」
そしてシアは三日月草を片手に、手を大きく振りながら草原の中を進み始めた。彼女が通った道には少しずつ霧がたちこみはじめていた。
シアが草原を歩きはじめてから数分……先程まで太陽が照っていたはずだが、いつの間にか辺り一面霧におおわれていた。
「あれ!?」
シアは辺りの変化に気がつき、周りをキョロキョロと見渡すが……自分がさっき通った道すらも濃い霧に覆われてわからなくなっていた。
「うみゅ~、どうしよう……。」
突然のことにどうすれば良いのかわからなくなってしまう。だが、ヒイラギ達に聞くわけにもいかない。
もし今この現象が件の魔物によるものであれば、ヒイラギ達の存在がバレてしまうということは即ち失敗を意味してしまう。
うずくまり頭を抱えて悩んでいると、前方から足音のようなものが聞こえ始めた。
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