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第三章
イリスの秘密
しおりを挟むハウスキットを使うため、部屋の扉を開けて外に出ると……。
「おはようございますヒイラギ様。おでかけでございますか?」
「おはようレイラ。今から朝食を作るから、いつもの場所に行きたいんだ。」
「かしこまりました。それではこちらへどうぞ。」
フレイと共にレイラの後に続いた。王宮の外に出ていつもの広場に案内されると、俺はバッグからハウスキットを取り出して展開した。
ミニチュアサイズの小さなハウスキットが、みるみるうちに巨大化する様子をフレイはまじまじと眺めていた。
「へぇ~、このお家ってそんな感じで建つんだね。便利~。」
「だろ?この世界に来てから……ずっと助けられてる。」
「…??この世界に?」
「いや、なんでもない。あ……そういえばレイラ、シンはもう朝食はすませたのか?」
「はい、つい先程大臣様方と朝食をお食べになりました。」
「そうか、ちょっとタイミングが悪かったな。」
王として家臣と共に食事を共にするのも勤めのうちだろう。シンの家臣との交流を妨げるわけにもいかないしな。
今回はシンを抜いたメンバーで朝食を食べることにしよう。
「それじゃあ作ってくるから、レイラはみんなを起こしてきてくれないか?」
「かしこまりました。」
こちらにペコリと一礼して、レイラは王宮の方へと戻っていった。
フレイと共にハウスキットの中に入り、ロッカールームに向かうと……。
「スンスン……はぁ~っ。やっぱりいい匂いです。これは大罪ですよ~……。」
「………………。」
なにも見なかったことにしよう。うん、俺は決してイリスが俺のコックコートに顔を埋めて、匂いを嗅いでいる光景は見ていない。
これは夢……そう!!きっとフレイの睡眠毒のせいでまだ目覚めていないんだ。
眼の前の現実を受け入れられず、頬をつねってもう一度確認してみたが……。
「スンスン…スンスンッ……うふふっ♪」
やはり夢ではなかった。
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