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第三章
秘密の場所での会談を終えて
しおりを挟むそれからは他愛のない会話をしながらシンと風呂での酒を楽しんだ。
彼も風呂での酒は体によく効くのはわかっていたらしく、自重しながら飲んでいたためこの前の宴会みたいにベロンベロンに酔っぱらってはいなかった。
「さて、酒も回ってきたことだ。そろそろお開きとするか。」
「そうだな、これ以上は酔っぱらってしまいそうだ。」
シンがザバッと湯船から立ち上がったのを見て俺も湯船から上がった。そして脱衣場でしっかりと体の水気を用意されていた布で拭き取り、レイラが用意してくれたであろうキチンと折り畳まれた服に着替えた。
「そうだ…服で思い出した。なぁシン?この国に袴ってあるのか?」
「ハカマ?」
「あぁ…っと何て言えばいいのかな、武術の稽古をするときに穿くものなんだが…。」
「そういう物ならば城下町のの服屋に行ってみるといい。大通りにあるブラケという服屋がよいだろう。あそこは色んな服を取り揃えておるし、自分でどんな服か指定して仕立ててもらうこともできるのだ。」
「ブラケだな?明日にでも行ってみるよ。」
「ただあそこの店主には………いや、なんでもない。」
「……??」
何か含みのある言い方だったな。まぁ、店主が少し変わっているぐらいなら、気にすることはないだろう。
日本の袴の素材はポリエステルが主流だったが、まず間違いなくこの国……いやこの世界には存在しないだろう。だがもしかすると、この国ならばカシミヤっぽい素材が手に入るんじゃないか?羊の獣人も何回か見たしな。
カシミヤとはブランドになっているヤギの体毛のことで、日本でもそれを使った衣服は高級品として重宝されているのだ。
「そのハカマとやらは戦闘の時に着るのか?」
「あぁ普段着で戦うよりも、一層気合いが入るし集中できる服装なんだ。」
まだ猶予があるんだ。気持ちの面でもしっかりと調えて万全の状態で挑みたい。
そして俺達は階段を上り再び玉座の裏に到着した。
「さて、それでは我はそろそろ寝室へ行くとしよう。ではなヒイラギ。」
「あぁ、おやすみ。」
シンは一人で玉座の間を出ていった。寝室は玉座の間から案外近いのかな?
「それではヒイラギ様、参りましょう。」
「お願いするよ。」
待機していたレイラと共に、俺はみんなが待っているであろう部屋へと向かうのだった。
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