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第三章
対決リリン!!
しおりを挟む倒れた二人のもとに駆け寄って、体を起こしてみると、特に二人の体に外傷はなく…まるで眠ってしまっているようだった。
「安心しなさい、眠っているだけよ。」
「あぁそうみたいだな。」
二人は、メイド達が部屋へと運んで行った。そして改めて俺はリリンと向き合う。
「さぁ、次はあなたの番よヒイラギ。吸血鬼を料理で誘惑した罪をここで清算してもらうわ。」
「それは自制心が弱いリリンが悪いんじゃないか……。」
「うるさいっ!!」
リリンはムキになると、大鎌を手に一気にこちらに切りかかってきた。
「おいおい、当たったら死ぬんだが!?」
「このぐらい本気でやらないと…意味無いでしょ!!」
「実力を確かめるってんなら、普通は攻めるのは逆だろ!?」
「うるさいうるさい!!うるさーい!!」
こちらの言葉をかき消すように、さらにリリンの攻撃が激しく…速くなっていく。本当に一瞬でも気を抜いたら命を刈り取られてしまいそうだ。
そんなやり取りをしている最中、俺はリリンの振るう一つの攻撃に狙いを定めた。
「ふんっ!!」
上段から振り下ろされた大鎌を、白刃取りで受け止める。
「なっ、何よその芸当はっ!!」
「これが技術ってやつだ。」
そして白刃取りしたリリンの鎌を奪い取り、距離をとった。
「ずいぶん洒落たことをやってくれるじゃない。ヒイラギ……。」
「ま、これを奪い取ったところでこういう武器の扱いは慣れてないからな。返すよ!!」
リリンへ向けて彼女の鎌を放り投げる。一直線に彼女へと向かって飛んで行く鎌は、不自然に彼女の目の前でぴたりと止まり、再び彼女の手に納まった。
「あら、ありがと。それじゃあ私からもお返しをあげるわ。」
そう言って彼女は大鎌で空中に横一文字を描いた。
「ブラッドウェーブ。」
直後、真っ赤な斬撃が俺に向かって高速で飛んできた。
(ただ避けたんじゃ……力を示せないよな。)
迫りくる赤い斬撃を前に、俺は完成した奥義を使う…。
「奥義……龍桜。」
龍桜を使った状態で、迫る斬撃に手を翳す。するとリリンの放った斬撃は、俺の手に触れた瞬間に跡形もなく霧散した。
「へぇ、それが……あなたの全力ってわけね。」
「あぁ。」
「なるほどね、それじゃあ……。」
目の前でクスリと笑ったリリンだが、その言葉の途中で彼女の姿が一瞬で夜闇に溶けるように消えた。
「確かめてみようかしら!!」
直後、背後から彼女の声が聞こえ……強烈な殺気を孕んだ攻撃が飛んでくる。その攻撃を屈んで躱すと、纏い衣で足にサンダーブレスを纏わせ背後へと向かって回し蹴りを放つ。
「っ!?」
ほぼノータイムでの反撃だったから、当たることを確信していたのだが……その確信に反して、リリンの体が一瞬で無数の蝙蝠に分裂し、攻撃を回避されてしまう。
「奥の手を使わせるなんて、やるじゃない?」
「そっちこそ体を分裂できるなんて、随分便利な体だな。」
「まぁね~。」
「ってか、それよりもさっきの攻撃っ完全に俺のことを殺すつもりで振ってたよな!?」
「ふふっ、どうかしら?覚えてないわ~♪でもまぁ、うっかり手が滑っちゃうことは……あるかもしれないわね♪」
一瞬目を瞑ってニヤリと笑ったリリンの隙をついて、懐に潜り込む。
「隙ありだ。」
「それはどうかしら?」
龍桜状態で破槌をリリンに放つが、またしても彼女は蝙蝠に体を分裂させて回避してしまう。
だが、これは想定内…。俺は分裂した蝙蝠が合体するその瞬間に全神経を集中させる。
「見つけたぞっ!!」
分裂した蝙蝠が合体しようと集まる瞬間……その群れの中に飛び込むと一匹の蝙蝠を捕まえた。
「キィッ!?」
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