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第三章
リリンの葛藤…そして敗北
しおりを挟むみんなが揃った所で、俺はパスタの仕上げに入った。
大鍋でパスタを茹で、先程作っていたパスタのソースと絡めていく。
「味は……うん、美味しい。」
味見をして、完成したパスタを一つ一つ皿に盛り付ける。
最後にパスタの上にブラックペッパーを上から振りかけたら完成だ。
完成したパスタを持ってみんなのもとへと向かう。すべて配膳し終えると、フレイがある質問をしてきた。
「ねぇねぇヒイラギさん?これにもコラーゲンって入ってるのかな?」
「残念だが入ってないな。」
「なら今日は食べ過ぎずにすみそうね。」
リリンとフレイがホッとした表情を浮かべた。ここ二日間、この二人は吸血鬼なのに普通の食事をバンバン食べてたからな。
この辺で一旦落ち着きを取り戻した方が良いだろう。
そしてみんなで手を合わせてから、一斉に食べ始めた。
「「「いただきま~す!!」」」
お魚大好きシアは、早速パスタと一緒にジュエルサーモンを口いっぱいに頬張って、幸せそうな表情を浮かべていた。
「お魚さん美味しい!!」
「やっぱりヒイラギのパスタは最高に美味しいねぇ~。」
「うんうん、いくらでもお腹に入っちゃうわ~。」
みんながハイペースで食べる中、リリンはあまり手が進んでいないようだった。
(あれ‥口に合わなかったか? )
不安に思って彼女に問いかけてみた。
「リリン、もしかしてパスタが口に合わなかったか?」
そう問いかけると、リリンは悔しそうな表情を浮かべながらこちらを向いた。
「違うわよ!!美味しいから食べすぎないようにゆっくり食べてるのよ!!ねっ?フレ……イ?」
「ん?なぁに?お姉さま?」
彼女が同意を求めたフレイの皿には、もうすでにパスタのソースしか残ってなかった。
「フ、フレイ…あなたもう食べ終わったの?」
「えへへ、だって美味しかったんだもん。ねぇヒイラギさん!!おかわりってあるのかな?」
「あるにはあるが……大丈夫か?」
「全然大丈夫だよ~、だって朝にちゃんとヒイラギさんの血をもらったし。」
「お兄さん!!シアもおかわり!!」
「アタイも!!」
フレイのおかわり宣言を皮切りに、みんながおかわりをし始めた。
そんな中リリンは……。
「くっ……やっぱり我慢はダメよ!!」
そう言って残っていたパスタを全部口にいれ、俺にスッと空になった皿を差し出してきた。
(ふっ、今日も俺の料理の勝ちだな。)
心の中で勝ち誇りながら、追加のパスタを作るのだった。
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