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第三章

膝枕と耳かき

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 フレイは食事を終えると、リリンの様子を見に行くと言ってどこかへ行ってしまった。

 彼女を見送った後、俺は王宮の外に設置したハウスキットへと歩いて行く。レイラに案内されずとも、ハウスキットを展開しているあの場所までの道のりは覚えた。

 いざハウスキットの中に入ると、そこではドーナ達がくつろいでいた。

「あ、ヒイラギじゃない。もうフレイの食事は終わったの?」

「あぁ、いろいろあったが、何とか終わったよ。」

 コーヒーメーカーにスイッチを入れて、熱いコーヒーを淹れる。それをソファーに座って飲んでいると、シアがとじゃれあっているのに気が付いた。

「ふにゃぁぁ……このふわふわ気持ちいぃ~♪」

「ん?それは……シア、ちょっとそれ貸してくれないか?」

「うん!!」

 シアから受け取ったそれは、俺が日本で愛用していた梵天付きの耳かきだった。どうやら梵天のふわふわがシアの興味を引いたらしい。

「お兄さん、それなぁに?」

「これは耳の掃除をする道具なんだ。試しに使ってあげようか……ほらシア、ここに頭乗せて。」

「はーい!!」

「「あっ!!」」

 シアが俺の膝枕に頭を乗せたのを、ドーナとランの二人がうらやましそうに眺めている。

「二人にもシアの後でやってあげるから。だから順番…待てるよな?」

「う~、わかったわよ。」

「で、でも約束だから、ちゃんとアタイ達にもやっておくれよ?」

「あぁ約束する。」

 そしてアルコールで耳かきの先端を消毒し、シアの耳に耳かきを近づけていく。

「それじゃ今から耳かきするぞ。危ないから動くなよ~。」

 猫の耳の構造はわからないから、まずは浅い入口からカリカリと耳垢を掻き出す。すると、耳かきで耳を撫でる度にシアが気持ちよさそうな声を上げた。

「ふにゃぁぁ~……すっごく気持ちいい~♪」

「入り口付近はこのぐらいでいいかな。それじゃもう少し奥を掃除しようか。」

 そしてシアの両耳を掃除し終える頃には、すっかりシアは眠りに落ちてしまっていた。最後の仕上げに、細かい耳垢を飛ばすため耳に軽く息を吹きかけると……。

「ふみゃっ…ふにゃぁ~……。」

「はい、おしまいっと。」

 シアをソファーにごろんと横に寝かせると、ドーナたちの方に視線を向けた。

「さ、次はどっちだ?」

「次はワタシよ~っ!!」

「あっ、ラン!!ずるいよ!!」

「ふふふ、こういうのは早い者勝ち~♪さ、ヒイラギお願いするわ~。」

「はいはい、それじゃランも耳かきの途中で動かないようにな。」

 そしてランにも耳かきを施すのだった…。
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